Windows Insider ProgramではRingが廃止に
昨年12月、20H1のプレビューがSlow Ringに移行し、Fast Ringの役割が変更された。また、Skip Aheadが廃止されることになった。この時点でWindows Insider Programの各Ringは、
Skip Ahead Ring:廃止
Fast Ring:特定のリリースを想定しないWindowsの開発プレビュー
Slow Ring:次期機能アップデートのプレビュー
Relase Preview Ring:リリース直前の機能アップデートのプレビュー
という定義に変わった。
そして今月15日、開始から5年にわたって使われてきたRingの名称が消え、3つのチャンネル(Channel)に名称が変更された。
Dev Channel:特定のリリースを想定しないWindowsの開発プレビュー
Beta Channel:次期機能アップデートのプレビュー
Relase Preview Channel:リリース直前の機能アップデートのプレビュー
そもそも、Windows Insider ProgramでRingの名称を使ったのは、プレビュー版を含めたWindows 10のリリースが、マイクロソフト内の内部Ring、Fast、Slow、Release Previewと同心円状に広がっていくイメージを想定したものだった。しかし、昨年12月の役割変更で、このイメージはなくなってしまった。
もう1つは、Officeのプレビュー版との整合性だ。不思議なことに、マイクロソフトは外から見ていると、WindowsよりもOfficeの開発チームのほうが主導権を握っているように見える。開発関連の方針は先にOffice側で決まって、そのあとでWindows側がこれに合わせるといった動きになることが多い。たとえば、Windowsのリリースを示す、「Semi-Annual Channel」「Semi-Annual Channel (Targeted)」は、もともとOfficeのリリース用語だった。
また、いくつかの技術は、先にOffice側で採用され、その後、Windowsの標準的な機能となることも少なくない。たとえば、リボンや古くは共通ダイアログなどだ。また、ExcelのアップデートにWindowsのカーネルが含まれていたこともあった。
Windows Insider Programが大きく変わることになるが、これは、Windowsのリリース形式変更とある程度関わりがあるようにも見える。昨年の19H2は、段階的なアップデートとして毎月配布され、最後に配布されたモジュールを有効化してバージョンを切り替えるという方式が取られた。秋のバージョンはインストールが簡易になる反面、大きな変更を盛り込みにくくなったのか、追加機能が限定されている。このため、春のアップデートのように長期間のプレビューはなくなった。
春のアップデートの一般向け配布が開始された現在、Beta Channelには「20H2」こと今秋のアップデートのプレビュービルド19042.330が登場している(ちなみに20H1のビルド番号は19041)。20H2のプレビュー版を受信し続けるためには、Beta Channelに参加し、「設定」→「セキュリティとアップデート」→「Windows Update」で「20H2」のインストールに同意する必要がある。
合意が必要になるのはおそらく7月あたりから、21H1のプレビューがBeta Channelで開始されるからだ。つまり、Beta Channelは、同時に2つのプレビューを配布することになり、Windows Insider Programの参加者は、リリースを選択して受信するのだろう。
Dev Channel/Fast Ringでのプレビュー版は、原稿執筆時点では、Build 20152が配布されている。しかし、5月末のBuild 19631でリリース名がmn_releaseとなった後、19645までこれが続いた。しかし、その後、番号を大きく更新させたBuild 20150では、rs_preleaseに戻った。“mn”はマンガン(manganese)の略で、21H1の開発コードだとも言われている。ここから推測すると、21H1のプレビューは、この19645以降のビルド番号が使われるのではないかと思われる。
昨年から変わり始めたWindows 10の機能アップデート。Windows Insider Programの変更で、とりあえず体制変更が一段落した感じだ。

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