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旅の終わりを見届けるまでプレイは止まらない

「The Last of Us Part II」への前作が好きすぎる故の期待と不安、プレイした今Naughty Dogにありがとうと伝えたい

2020年06月19日 23時00分更新

文● 八尋 編集●ASCII

絶望と恐怖の中にあるちょっとした幸せにグッとくる
そしてそれがのちに辛く、切なくなることも

物語の中にはちょっとした幸せな時間も

 The Last of Usをプレイしていると、基本的には絶望と恐怖に抗いながらサバイバルして生きていくことになる。しかし、ふとしたときなどに、ジョエルとエリーにふとした幸せな時間が訪れるのだ。インフェクテッド(感染者)があふれる世界で、すべての人間が信用できるわけではない、いうなれば極限の状態の中で訪れるちょっとした幸せ。それを目の当たりにすると、ときにはほっこりし、ときには感動せずにはいられなくなる。

 そして、その幸せは長くは続かない。ひと時の幸せが、あとから切なく心に響いてくることが何度もあった。The Last of Usは、とことんプレイヤーの感情を揺さぶってくるので、私も何度感情が迷子になったことか。

 この点も、内容には触れられないがThe Last of Us Part IIに上手く踏襲されている。しかも、グラフィックの向上によって、ふとした風景にガッツリ感動を覚えたり、インフェクテッドや敵である人間への恐怖が一気に増し、感情を揺さぶられた。加えて、登場人物の表情や仕草などもよりリアルになったことで、登場人物への感情移入がより深くなっている気もする。

より怖くなったインフェクテッド

崩壊した世界の中でふと現れる、美しい景色。普通の作品だと何とも思わないこういった部分でも、本作では心にぐっと残る

もう楽にしてくれ! と思いつつ、プレイをやめられない

 The Last of Usでは、物語が進めば進むほど、ジョエルにさまざまな選択が突き付けられる。The Last of Us Part IIが出るいまだからこそ、The Last of Usをプレイしてほしいのだが、それには、ジョエルが自分のために、エリーのために選択してきたからこそ、The Last of Us Part IIの冒頭があると思えるからだ。

 もちろんThe Last of UsもプレイしたうえでThe Last of Us Part IIを遊んでほしいので詳しくは書かないが、プレイヤーにはジョエルの悲しみも、怒りも、ほんの少しの喜びも、すべてがぶつけられる。そのたびに「もう(ジョエルじゃなくて私を)楽にしてくれぇー!」と、叫びたくなる思いをしつつ、それでも物語の結末をしるためにプレイを突き進めていく。

 そして、プレイヤーに突き付けられるのは、プレイアブルキャラのジョエルだけでなく、エリーや出会う人々すべての葛藤、決断、行動。そのどれもが、心に突き刺さる。しかし、心に突き刺さる分、最後を見届けずにはいられなくなり、無我夢中でプレイするのだ。

成長し、大人びたエリーの姿。グラフィックの向上により、感情表現もより豊かになった

 The Last of Us Part IIでのメインのプレイアブルキャラクターは、ジョエルからエリーになる。本作のエリーは前作に比べるととても成長しているように見受けられるが、どこか複雑な思いを抱いている様子。それでも、前作のジョエルのように愛を捨てているわけではない。

 表には出さないものの、ジョエルから愛とは、そして愛情とは何なのかを教わっているはずのエリー。そんな彼女が、無慈悲な復讐の旅に出るとは何事だ。プレイする前はそう思った。しかし、やはりプレイをしていくうちに、エリーが復讐の旅に出るのは必然だし、仕方のないことだということが分かった。

知っている大人はジョエルしかいなかった前作とは、少し事情が違う

 しかし、それが正しいのか、間違っているのかは、再びプレイヤーに委ねられる。The Last of Usも、The Last of Us Part IIも、パンデミックな世界で巻き起こる、非常に私情な物語なのだ。その分、世間一般ではこうするという常識は通用せず、自分ならどう思うか、どういった行動に出るのかを、考えさせられることになる。The Last of Usで、エリーとはどういった人間で、どういった人生を歩んできたのかを思い返すと、さらにより一層考えることになると思う。

Naughty Dogに、ありがとうと伝えたい

葛藤し、考えながらも、物語の最後を見届けるために時間を忘れてプレイし続ける

 The Last of Us Part IIを作るにあたって、Naughty Dogの製作陣もかなり葛藤したと思う。それは、前作の出来、それに対する高い評価への重圧、(個人的に)完璧と思える物語の最後を描いてしまった作品の続編を作らなくてはいけないということ、あらたな技術、そしてテーマを盛り込んでいかないとプレイヤーが納得しないということなど、様々だ。

 しかし、実際にプレイして、グラフィックが向上しさらに感情表現が豊かになったエリーやジョエルを目の前にしたとき、私はNaughty Dogにありがとうと伝えたくなった。前作が心の奥底まで突き刺さった私にとって、エリーとジョエルが再び、より躍動的に動き出したことは、やはりうれしさでしかなかったのだ。

 そして、これからエリーとともに、復讐の旅を続けていくことになる。その旅がどんな結末を迎えようとも、歩みを止めなかっただろうとも思う。それは、本作のファンである限り、彼らの物語を最後まで見届ける必要があると、個人的に思ったからだ。

 もし、前作をプレイしていないという人がいれば、個人的にはぜひ前作からプレイすることをオススメしたい。ジョエルとエリーが、The Last of Us Part IIの前にどんな人生を歩んできたのか、どのような関係なのかを知ってからと知らないでプレイするのには、あまりにも差があるように思われる。それくらいに、このシリーズは物語に魅力があるといえよう。

 The Last of Usをプレイした後は、恐れずにThe Last of Us Part IIも手に取ってほしい。必ず、あなたが唸る物語になっているはず。これは、The Last of Usシリーズの大ファンである、私からのお願いである。The Last of Us Part IIは、6月19日に発売を開始している。

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