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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第566回

マルチメディア向けからAI向けに大変貌を遂げたMovidiusのMyriad 2 AIプロセッサーの昨今

2020年06月08日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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製品化されずに終わったSHAVEが
Myriad 2として復活

 さてそんなわけで登場したSHAVEであるが、これが製品化されたかというと、どうも製品化はうまくいかなかったらしい。

 少なくとも28nmのFragrakは、実際には製造されずに終わったようだ。加えて言えば会社の役員にも変更があった。

 もともとMovidiusはSean Mitchell氏とDavid Moloney氏が立ち上げた会社で、Mitchell氏がCEO、Moloney氏がCTOという役割を果たしていたが、2013年5月にCEO職をTIから来たRemi El-Ouazzane氏にバトンタッチ、Mitchell氏はSVP兼COOに降格した。

 そして新しいCEOの元でMovidiusはビジネスの方向性を転換する。2014年1月の同社のトップページから、Productsページが消えているのがわかる。

2014年1月のMovidiusトップページ。Imagingを核に据えていることだけはわかる

 その新しい方向性が明らかにされたのは、実は2014年のHot Chips 26である。ただこの時、新製品であるMyrad 2はVision Processor SoCとして発表された。

Computer Visionを携帯機器に持ち込むというのが、この時点でのVision Processorのコンセプトだった

 基本的な構成はSHAVEそのままで、ただしVectorプロセッサーが12に増えたのと画像処理ハードウェアが追加されたのが大きな違いだ。

Vision Processorの構造。RISCコアそのものも2つ搭載され、片方はRTOSが稼働する模様

 Vectorプロセッサー、つまりSHAVEコアだが、基本的な構成は従来の構造を引き継いでいるものの、Vectorサイズが128bitになり、またSRFが廃された(IRFを共通で使うようにした模様)。

128KBのSRAM Tileは廃され、代わりに2MBの共有SRAMが搭載された。あと、DMAユニットはVILW命令から省かれた模様だ

 データ型は8/16/32bit Integerと16/32bit Flotをサポートする。一方画像処理ハードウェアは下の画像の通りで、さまざまな画像処理フィルターをハードウェアで搭載しているとされる。

Streamingと付くあたり、カメラからの入力と同じスループットでフィルター処理が行なえると思われる

 最終的なMyriad 2の全体の構成が下の画像である。TSMCの28HPMで製造した場合、ダイサイズは5.1×5.3mmで27mm2に抑えられるとしている。

Myriad 2の構成。この時点ではPower Islandが17とされているのに注意

ちょうど発表の時期に最初のサンプル出荷が始まった感じだ

 消費電力については、30fpsの画像処理(入力画像サイズは不明)の処理が250mW未満で可能という話であった。

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