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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第565回

性能/消費電力比が優秀なGoogle TPU AIプロセッサーの昨今

2020年06月01日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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10倍どころか100倍近い
性能/消費電力比を実現

 さてこのGoogle TPUの性能だが、論文によれば下表の通りである。18コアのtXeon E5-2699 v3の2ソケット構成単体と、そのサーバーに、Tesla K80を1枚追加したもの、およびDual Xeon E5-2699 v3にGoogle TPUを組み合わせたものの3種類での性能比較であるが、INT 8における演算性能はXeonが合計で2.6TOP/秒なのに対しGoogle TPUは92TOP/秒を叩き出している。

 Measured、つまり実測の消費電力で比較すると以下のとおりだ。

消費電力の比較表
プロセッサー ダイ単体 システム全体
Xeon(INT 8) 17.931GOP/s/W 5.714GOP/s/W
Xeon(FP) 8.965GOP/s/W 2.857GOP/s/W
Google TPU 28.571GOP/s/W 2.825GOP/s/W
Tesla K80 2300GOP/s/W 239.583GOP/s/W

 基調講演における10倍どころか、100倍近い性能/消費電力比を実現できているわけだ。こうなると基調講演で語った10倍の差はいったいなにと比較したのか? という議論になるわけだが、これは後述する。

 ちなみにこの論文では、ベンチマークとしてMLP(多層パーセプトロン)、LSTM(Long Short-Term Memory:長期間の時系列データを扱えるネットワーク)、CNNの3種類について、それぞれ2つづつトータル6つのネットワークを利用している。

ネットワークの層数は4層~89層、活性化関数もさまざまで、Weight(係数)の量も5万~100万個と大きく異なる

 この6種類のネットワークの傾向をまとめたのが下の画像である。TPUは1万ps/Bytesあたりまでほぼ性能が上昇して86TOP/秒あたりでやっと頭打ちになるのに対し、Haswellは13Ops/Bytesあたり、K80は8Ops/Bytesあたりですでに性能が頭打ちになっており、これ以上性能が上がらないことが示されている。

ネットワークの傾向。本来は3つの異なるグラフであるが、一つにまとめさせていただいた

 水平部は演算性能のリミット、斜線部はメモリー帯域のリミットであり、要するにHaswellやK80は演算性能の前にメモリー帯域がリミットになってしまっている。

 上で書いた性能の話だが、実効性能に近い数字が2007年8月に開催されたHotChips 29で公開された。こちらはK80およびGoogle TPUのCPUに対する性能比をそれぞれ算出したもので、相乗平均の結果が右端となる。

HotChips 29で公開された、実効性能に近い数字。これは6種類のネットワークのそれぞれの処理性能を、CPU(Xeon)で行なった場合と比較しての数値となる

 Xeon 2Pと比較して29.2倍ほど、K80と比較して15.3倍ほどの性能となっている。絶対値という意味では、おおむね23TOP/秒あたりが平均的な性能ということになる。

第2世代となるGoogle TPU v2が登場
カード間で2次元Meshの構築が可能に

 初代Google TPUの詳細が発表される「前」の2017年5月に開催されたGoogle I/Oで、第2世代となるGoogle TPU v2(Cloud TPU)が発表される。

Google TPU v2。1年前と異なり、2017年は基調講演の比較的早い段階で公開された

 大きな違いは、今度は4つのGPUで1枚のカードを構成するだけでなく、カード間で2次元Meshを構築できることで、大規模なデータセンター(学習用クラウド)をTPUだけで実現できることになる。

それぞれのTPUボードに4本のインターコネクトが搭載されており、これで2D Meshを構築できる。構成は8×8。リンク速度は1本あたり双方向で500Gbpsだそうだ

実際に稼働中のCloud TPUのシステム。一般のデータセンターと比較して5倍の帯域を10分の1のコストで実現できたと説明されている。おそらく中央の2つのラックがGoogle TPU v2のPod、左右のラックは制御用のホストと思われる

 このGoogle TPU v2の構成であるが、2019年のHotChipsでGoogle TPU v3と併せて解説されたほか、David Patterson教授による“Domain Specific Architectures for Deep Neural Networks: Three Generations of Tensor Processing Units (TPUs)”という講義の中で詳細が説明されており、しかもそれがYouTubeで公開されている。

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