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石川温のPCスマホニュース解説 第74回

2つの「オンライン」に支えられた:

苦境のアップル“増収”のワケ

2020年05月04日 09時00分更新

文● 石川温 編集● ASCII

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■アップル支えた2つの「オンライン」

 1つには、音楽配信サービス「Apple Music」や「Apple TV」などのコンテンツビジネスを強化していた点が大きかった。国内なら外出自粛、海外であれば都市封鎖により、人々は外出したくてもできない状況に追い込まれた。自宅で暇な時間をつぶそうと、アップルのコンテンツサービスを利用した人も多かったのではないか。また、App Storeでゲームをダウンロードし、課金をすれば、それだけアップルの手数料収入となる。

 iPhoneやiPadなどハードが世界中に普及していたことで、その上で消費されるコンテンツの収入が今のアップルを支えているというわけだ。

 もう1つ、「オンラインストア」が強かったという点が挙げられる。

 アップルは、新型コロナウイルス感染拡大という逆風が吹く中でも、なんとか新製品を発表、発売し続けた。街中の直営店が閉鎖されており、本来であれば、販売台数が落ちてもおかしくないのだが、これだけでの売上をなんとか確保できたのは長年、オンラインストアで様々な製品を売ってきた実績が大きいのではないか。

 3月中にはMacBook AirやiPad Pro、4月に入ってからはiPhone SEが発売となったが、いずれもデザイン的には大きな変化はなく、新規というよりも買い替え需要が多かったと思われる。既存のユーザーとすれば、実機を触らなくても、何の心配もなくオンラインで購入できる。

 いずれの製品も、多くのユーザーが「いつ出るのか」と待ち望んでいた状態で発売となったため、熱心なユーザーが最初に飛びつき、初速の売れ行きも好調だったはずだ。

 つまり、リアルの店舗が閉鎖に追い込まれていても、既存のユーザーはネットで買うことに躊躇がないため、結果として、アップルの売り上げが確保できたのだろう。

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