誕生50周年を過ぎて益々円熟化が進む
「NISSAN GT-R」
昨年、ブランド誕生50周年を迎えたGT-R。そのアニバーサリーイヤーに「NISSAN GT-R」はマイナーチェンジを実施しました。「最新こそ最高」を標ぼうするNISSAN GT-R。MY(モデルイヤー)20と呼ばれる最新モデルは、どのようなマシンに仕上がっているのでしょう。そこから見えるGT-Rの未来を垣間見たく、2台の最新NISSAN GT-Rに触れました。
NISSAN GT-Rが登場したのは2007年末のこと。当時から年々進化・熟成を重ねていきました。そのNISSAN GT-Rとって大きな転機となったのが、2013年11月のMY14の誕生です。それまでチーフ・プロダクト・スペシャリスト(商品企画立案責任者)を務めていた水野和敏氏の定年退職に伴い、R34型スカイラインGT-RのMスペックを担当した田村宏志氏へと移管されました。
田村氏は、GT-Rを速さと快適さの両立させたロングドライブ向けの「GT」と、純粋に速さのみを追い求める「R」へと分離にとりかかかりました。その結果生まれたのが、日産モータースポーツの名を冠したGT-R NISMOというグレードです。
GT-R NISMOは、レース専用車両「GT-R NISMO GT3」に搭載されている「GT3タービン」を搭載して、最高出力を600ps、最大トルクを66.5kgmに向上させたほか、足回りやエアロを徹底的に見直しをはかったモデルです。それは日産ハイパフォーマンスモデルの頂点に相応しいもの。オプションパーツ「N Attack Package」を装着したGT-R NISMOは、ニュルブルクリンクで7分8秒679という、当時の市販車最速ラップをたたき出しました。それは水野氏が「標準仕様がニュル最速であるべき」という掟からの脱却であり、言い換えるならGT-Rが「羊の革を被った狼」ではなくなってしまったかにも思えました(もっともGT-Rという時点で羊じゃないだろ、という話はありますが)。
その後、NISSAN GT-RはMY17でビッグマイナーチェンジ。よりGTとRの差別化が明確なものに。いよいよもって「羊の革を被った狼」は羊と狼を明確に分けるのか……などと思いカタログをペラペラ見ると、強化車体とサスペンション、ホイール&タイヤがNISSAN GT-R NISMOと共通、エンジンと内装がノーマル仕様という「NISSAN GT-R Track edition engineered by NISMO」が用意されているではありませんか。これぞ「羊の革を被った狼」というか「標準仕様の革を被ったNISMO」で、さすが抜け目ナシ。ちなみに「NISSAN GT-R Track edition engineered by NISMO」は、GT-R全体の売り上げの3割を占める人気グレードなのだとか。みなさん、走り好きですね。
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