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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第245回

新型コロナウイルスでネットのトラフィックが逼迫、対策に知恵絞る欧州のキャリアと政府

2020年03月27日 09時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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 世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が収まる気配が一向に見えない。感染者が急増している欧米圏では外出禁止令が出ているところも多く、ネットワークにも負荷がかかりはじめている。フランスでサービス開始を予定していた「Disney+」は政府の要請もあり2週間の延期となった。

フランスではモバイル網のトラフィックの増加で、できるだけWi-Fiに繋ごうと呼びかける運動が

外出禁止でインターネットの利用がアップ

 2週間前の前回コラム(「新型コロナウイルスにより、スマートフォンは大きなマイナス成長へ」)、前々回(「MWCのないバルセロナ……モバイル業界のみならず地元経済には500億円以上の損失!?」)のMWC中止の時期と振り返ると、あらためて現在の状況には驚いてしまう。当時は新型コロナウイルス(COVID-19)がこれほどの規模と速さで欧州大陸を襲い、米国でも脅威となるとは想像もしなかった。

 欧州では、新型コロナウイルスによる死者が中国を超えたイタリアが震源地となり、隣国のフランス、スペインと広がっている。4週間前にバルセロナで会った地元の友人カップル、1人はレストランに勤務しながらスポーツインストラクターを務めていた。ところがレストランが閉鎖により仕事がなくなり、スポーツ施設にも行けないとのこと。

 「基本的に外出できないのでバルコニーがあってよかった」と連絡してきた。イギリスで舞台映像職の友人は、舞台そのものがないので仕事がない。「3ヵ月の間、住宅ローンの支払いを免れられることになったが、3ヵ月後にいきなり払える状態かわからない」と肩を落としたメールが届く。

 そう言えば、世界が危機に直面しているからか、時間ができたからか、お互いを気遣うメールやメッセージがよく届く。多くの人が家にいるしかない状況にあることがよくわかる。

 それもこれも通信技術あってのことだ。世界が固定、無線問わず通信技術のメリットを享受している。友人や家族とのコミュニケーションだけではない。仕事、ショッピング、娯楽とオンラインでできることはなんでもそうだ。

トラフィック増に耐える欧米のキャリア

 英国では3月20日から、パブなどの閉鎖が始まっているが、すでにその前週、Vodafoneが英国でのインターネット利用が30%増加したと報告している。Vodafoneは本拠地の英国をはじめ、イタリア、ドイツ、スペインなど欧州では15ヵ国で展開している。中には50%増加した国もあったとThe Guardianが報じている。

 Vodafone UKのCEO、Nick Jeffery氏は20日、英国のインターネットアクセスを確保するために努力しているという声明文を出した。また、英国の医療機関であるNHSのサイトへのアクセスは無料にすることも発表した。モバイルからNHSへの無償アクセスは、EE、O2など、他のオペレーターも提供している。Virgin Mediaは、一部モバイルプランを契約するユーザーに10GBを追加バンドルするという太っ腹ぶりだ。

 The Guardianの記事では、英国で固定インターネットサービスを提供するTalkTalkも、3月16日から4日間で昼間のトラフィックが20%増加したとのこと。TalkTalkはツイートで、「需要が増えたとしても通常通りのサービスができるように政府や業界のパートナーと協業している」と記している。

 スペインではTelefonicaが固定トラフィックが約40%増加したと報告。モバイル端末からのインターネットへのアクセスは25%増え、通話も50%増加したとのこと。Telecom Italiaでは固定のトラフィックが70%増だそうだ。なお、スペイン政府は主要キャリアと接続維持に向けて合意を交わしたと発表している。

 ニューヨーク州にも外出を制限する禁止令が出た米国でも、Verizon、AT&Tといった大手通信キャリアが特設ページを設け、インターネットへのアクセス維持に務めることを約束している。AT&TのCEOはCNNに対し、モバイルの通信量が40%増加し、Wi-Fi Callingは100%増加したと報告している。

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