RenoirではLPDDR4x-4266をサポート
CPUコアは従来のZen 2のまま
内部構造は下の画像のとおりである。
Ryzen 4000 Mobileの内部構造。これはモバイル向けに有効にされている機能だけを示していると思われる。デスクトップ向けの方はFusion Control Hubが不要になるのでさらに機能が減るからだ
Raven Ridge/Picassoとの機能面での違いは以下が相違点となる。
- DDR4-3200/LPDDR4x-4266をサポート
- PCI Express x4を追加
- USBポートを追加
このメモリーコントローラーはRenoirの目玉の1つであり、Raven Ridge/PicassoがDDR4-2400止まりだったのに対し、RenoirではLPDDR4x-4266がサポートされる。この帯域がRenoirでGPU性能が高い大きな理由だ。インテルがIce LakeでLPDDR4-3733をサポートしており、こうこうした流れは決定的ということでもある。
LPDDR4x利用時は、64bit幅のメモリーコントローラーを2つの32bit幅に仮想的に分割することで、システム全体で4つのLPDDR4xチップを搭載可能。現状最大容量は64Gbit(8GB)なので、4つだと32GBまでカバーできることになる。
またUSBポートについて言えば、搭載されるUSB Type-CコントローラーはMST(Multi Stream Transport)をサポートするので、1ポートから2つの画面出力が可能になっている。またUSB 3.2とDisplayPortの同時利用やDSC(Display Stream Compression)、DisplayPort v1.4などほぼ最新の規格に対応したスペックとされる。
ちなみにCPUコアそのものは従来のZen 2そのままで、相違点は3次キャッシュサイズのみであるが、GPUコアの方はVegaがベースと言いつつも、けっこう再設計が掛けられており、モバイル向けに最適化している。
基本的な構造そのものはVega 7nmと変わらないが、インフィニティー・ファブリックとのバス幅を増やしたり、低消費電力モードでの動作を改善したりと結構細かく改良した結果、ダイが妙な形になっているわけだ
性能指標の1.79TFlops(FP32)という数字はRyzen 7 3700Uに等しい。こちらは10CU/1400MHzなので、8CUでは1750MHz動作と言うわけだ。
ただこれでは、従来のRaven Ridgeと同等の性能になってしまうが、これはあくまでCUの理論性能でしかない。ここで効いてくるのがメモリーの広帯域化で、実際のゲームなどではCUを増やすよりもメモリー帯域を上げた方が性能が出しやすい。
そもそもRenoirの設計時点ではNaviの実装がタイミング的に間に合わず、それもあってVegaをベースにせざるを得なかったが、Naviに比べるとダイサイズが大きくなり、性能もやや低めである。
そこで、ぎりぎり許容されるCU数を8と定めたうえで、従来と同等の性能を出すために動作周波数を1750MHzまで引き上げ、後はメモリーの広帯域化で実効性能を引き上げるという策に出ざるを得なかった、というあたりだろう。次の世代ではNaviコアが利用可能になるので、CU数ももっと増やせるし、ゲームでの実効性能の引き上げも期待できるだろう。

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