消費電力を最大75%削減
Renoirは単にZen 2+Vegaで周辺回路を強化した程度か? というともちろんそんなことはない。最大の特徴は省電力機構にある。
まずインフィニティー・ファブリックそのものは同じZen 2といっても、Matisseの場合はCPUチップレットとI/Oチップレットが別々のダイになっており、それなりに高い電圧で信号を送らないと減衰してしまい、これが理由で消費電力がやや大きいという欠点があった。
ところがRenoirの場合は1チップのモノリシック構造なので、そもそもチップ外部にインフィニティー・ファブリックを引き回す必要がない。このため、バス幅を倍増させ、その一方でおそらく伝達速度そのものを半減させたことで、消費電力を最大75%削減できたとする。
チップ内部だけで良ければ引き回し距離も大幅に減り、電圧も大幅に下げられるわけで、このあたりも効果的だったと思われる。
一方、下の画像はRaven Ridge/Picassoとの比較と思われるのだが、SoC周りの消費電力を大幅に削減できたとする。正確に言えば「SoCに統合されるCPUの電力管理メカニズム」で、インフィニティー・ファブリックのうちコントロール・ファブリックを利用して制御されている部分だ。
このCPUの電力管理に関して言えば、ACPI 6.3への対応も新しく追加された。
通常待機状態になると、CC1(稼働中)→CC6(スリープ)→CPU Off/Vdd Off(シャットダウン)という具合にだんだん深い省電力モードに入るのだが、CC6はともかくCPU Off/Vdd Offまでいくと、そこからの復帰には結構な時間がかかる。そこでACPI 6.3では新たにLPI(Low Power Idle)ステートという値を追加した。
例えばLPI1ならCC1より下には落ちず、LPI2ではCC6どまり、LP3だとVdd Offまで落ちるといった設定をしておけば、あとはOSが動作状況に応じてどのLPIステートにするかを選択できるというものだ。
省電力性だけを考えれば常にVdd offまで落ちるのが一番省電力に見えるが、これが煩雑に繰り返されるようならCC6止まりにしておいた方が結果的に省電力という可能性もある。
もっともこれにはOS側の対応も必要なのは当然で、現状Windows 10でこれがサポートされているかどうかは今回未確認である。別のスライドでは、WindowsのPower slider UIで調整できるかのように書いてはあるのだが、明示的にLPIを制御しているとは明言していないので、確証がない。
実際にPicasso世代との省電力比較をした結果が下の画像だ。PCMark 10のApp Startup Benchmark実施中の動作周波数の変動とCPUのステートを見たものだが、CPU待機時間もRenoirの方がずっと多いし、CPU/GPU Offのみならず、Vdd Offの時間も圧倒的にReniorの方が長い。結果として、59%もの節電が可能になったとしている。
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