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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第555回

RenoirはZen 2コアのまま消費電力を最大75%削減 AMD CPUロードマップ

2020年03月23日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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メモリー保護を改良
動画エンコードとオーディオも強化

  GPU周りで言えば、メモリー保護周りについても改良があった。

メモリー保護周りの改良。コンシューマー向けではあまり関係ないのだが、Ryzen Pro向けではこの機能が効いてくることになる

 AIDA(AMD Integrated Device Translation)はアドレス変換機構の一部である。昨今のGPUは仮想化環境に対応しており、例えば複数のゲストOSからのフレームバッファへのアクセスをうまくこなせるようになっているが、内蔵GPUではこの仮想化環境への対応が十分ではなかった。

 このため、複数のゲストOSからのアクセスがあった場合、OSごとに異なるフレームバッファ領域を設けるという実装になっていた。Renoirではこれを1つのフレームバッファ領域でこなせるようにしたことで、メモリー利用量そのものを削減できるようになった。

 ちなみにGPUの一部として提供されてはいるが、独立したものとして動画のエンコーダー/デコーダーがある。そもそもRaven Ridge/Picassoから、エンコーダー/デコーダーはVCN(Video Codec Next)と呼ばれているが、これが第2世代のVCN2になった。

第2世代になったVCN。エンコード速度も31%高速化だそうだが、妙に中途半端な数字だ

 性能的にはRadeon RX 5000シリーズに搭載されているもののサブセットというあたりで、H.264のみ4K120fpsのデコードが可能だが、あとはすべて4K60fpsないし2K240fpsのエンコード/デコード性能となっている。

 Radeon RX 5000シリーズでは、H.264が4K150fpsデコード/4K90fpsエンコード、H.265が4K60fpsデコード/4K90fpsエンコードと、ややエンコード性能が高いのは、おそらくe-Sportsの配信を念頭に置いたものと思われる。ただRenoirの場合、単体でe-Sportsの配信はやはり厳しいので、そこまで高い性能は要らないと判断されたのかもしれない。

 動画のついでにオーディオに関しても、Raven Ridge/Picassoの時代からACP(Audio CoProcessor)は搭載されていたが、これがかなり強化されている。

最大6マイクをサポートというのは、マイクロフォンアレイを構成して声の方向を特定するためのもので、スマートスピーカー向けに広く利用されている技術である

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