このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

コロナ禍を生き残るためのテレワークの進め方 第1回

無料で提供サービスも多いこんなときこそ実践せよ

いまこそリモートワークにチャレンジ!PC、VPN、クラウドサービスはこう選べ

2020年03月06日 07時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

在宅勤務こそビジネスチャットにチャレンジ

 クラウドサービスが全盛期の最中、ビジネスツールは10年前と大きく様変わりしつつある。おおまかに言うと、電話とメールはチャットに、ファイルサーバーはクラウドストレージに、音声会議はWeb会議になったという状況だ。

 社員同士や社外とのやりとりは、コミュニケーションツールが必要になる。実際、2017年にIBMが在宅勤務を廃止したというニュースが騒がれたとき(実際は“フル”在宅勤務を廃止した)、課題になったのはコミュニケーションだ。コミュニケーションが欠けることで、チームとしての一体感が持てない、上司が業務や成果を評価してくれない、同僚と関われないため孤独感を感じるといった課題があったという。そのため、会社の文化・風土にあうコミュニケーションツールの選定が重要になる。

 一口にコミュニケーションツールと言っても、メール、ビジネスチャット、SNS、グループウェア、Web会議ツールなどサービスは多種多様であり、組織や業務によって向き不向きも異なる。複数のツールを導入して混乱したり、コミュニケーションロスが生じることも多いので、本来的には慎重なツール選定が必要になるが、未体験のユーザーはぜひビジネスチャットを試してほしい。

グローバルでユーザーの多いSlack

 ビジネスチャットは特定のユーザー同士でリアルタイムにテキストをやりとりできる機能を指す。多くのユーザーが利用するLINEを社内で利用するというイメージだ。PCだけではなく、スマホでも利用でき、ファイル共有やビデオ会議、タスク管理などリモートワークに必要な情報共有が単一のツールで行なえる。最新のビジネスチャットはクラウド版として提供されているので、別途サーバーなどを必要とせず、アカウントを作ればすぐに利用できる。

 代表的なツールとしては、グローバルでもユーザーが多いSlack、シンプルな使い勝手が魅力のChatwork、LINEのビジネス版と言えるLINE WORKSに加え、最近ではOffice 365に含まれるMicrosoft Teamsが選択肢にあがることが多い。各ツールの使い方や特徴に関しては詳細な記事を掲出しているのでそちらを参照してほしいが、すべてを利用した印象を説明しておく。

 まずSlackはオープンなやりとりを前提とした設計で、アプリ連携やボットの利用など拡張性に優れている。セキュリティや管理機能も充実しているので、エンタープライズでの利用に向いている。またエンジニア組織においては圧倒的な人気があるので、ネット上でさまざまなノウハウが公開されているのも大きなメリットと言える。

関連記事
使ってみようSlack入門 ~使い倒して業務効率アップ!(連載INDEX)

 Chatworkは使い勝手がシンプルで、ビジネスチャットを初めて使うユーザーにお勧めできる。タスク管理やビデオ会議などが標準搭載されているほか、既読確認の機能がなかったり、スタンプも既定のモノのみ利用できるようになっている。外部のChatworkユーザーとシームレスにつなげるのも一つの特徴だと思う。

関連記事
ビジネスでも安心して使えるチャットワーク、まずは使い始めるまで

 LINE WORKSもLINEゆずりのユーザーインターフェイスを実現しているため、LINEユーザーにはなじみやすい。既読確認の機能は必要なユーザーには重宝されるだろうし、LINEとつなげる唯一のビジネスチャットでもある。掲示板やアドレス帳、カレンダー、ファイル共有、アンケートなどグループウェア機能をひととおり包含しているのも大きな売りだ。

モバイルでの利用を前提としたLINE WORKS

関連記事
さわってわかったLINE WORKS(連載INDEX)

 ビジネスチャットは、それぞれ使い勝手のよさを売りにしており、特徴もそれぞれ違う。どのツールもフリー版が提供されているので、まずは試用すべきだ。

Web会議の代名詞に踊り出た「Zoom」

 リアルタイムに業務のやりとりを行なえるビジネスチャットと同様、Web会議もリモートワークには必須のツールと言える。Web会議サービスを使えば、音声やビデオで直接やりとりができるほか、相手側に画面を共有することも可能だ。従来、ビデオ・音声会議のために高価な専用ハードウェアが必要だったことを考えれば、クラウド型が主流の現在はWebブラウザで手軽にWeb会議ができるので、本当にいい時代になったと感じる。

 Web会議ツールはWebの創生期からさまざまなツールが存在し、マイクロソフト傘下のSkypeが市場を席巻した時期もあった。今でもCisco Webex、Google Hangouts、BlueJeans、V-cubeミーティングなど数多くのツールが存在しているが、一連の新型肺炎騒動において一気に認知度を上げたのはZoom(米Zoom Video Communications)である。

一気に認知度を上げたZoom

関連記事
お手軽&高機能なWeb会議サービス「Zoom」を使ってみる

 Zoomで面白いのは、ユーザーによってそれぞれ評価が異なる点だ。「画質や音質がいい」はよく言われるが、「無料で100人まで使える」「URLだけ渡せばいいので使いやすい」「同時アクセスでも品質が落ちない」など総合的に優れているのが人気のポイント。先日は教育関係者に無償提供されることも発表され、教育市場でシェアを伸ばしそうな予感だ。

 非常におおざっぱだが、リモートワークに必要なツール・テクノロジーとしてPC、VPN、ペーパーレス、ビジネスチャット、Web会議などを紹介してきた。リモートワークの障壁を少しでも下げる一助となったら幸いだ。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事