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コロナ禍を生き残るためのテレワークの進め方 第1回

無料で提供サービスも多いこんなときこそ実践せよ

いまこそリモートワークにチャレンジ!PC、VPN、クラウドサービスはこう選べ

2020年03月06日 07時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 新型肺炎の影響により、多くの企業で在宅勤務がスタートしている。大企業でも数千人規模での在宅勤務が必須となり、制度のみだったリモートワークがいよいよ身近になりつつある。改めてリモートワークにはなにが必要か? ここではツールやテクノロジーの観点でおさらいしておきたいと思う。

実効性の高いリモートワークを実現するために

 新型肺炎の感染を最小限に抑えるため、リモートワークを実践する企業が増えている。一言でリモートワークと言っても、外出や満員電車を避けるという目的で、モバイルワークより在宅勤務の方がメインだ。1月27日に4000人規模で在宅勤務に切り替えたGMOインターネットグループをはじめ、NTT、NEC、富士通、KDDI、ソフトバンクなどIT・通信系はいち早く在宅勤務や時差通勤を取り入れた。IT系以外でもキリンHDが約1万人、第一三共が約8800人、電通が約5000人で在宅勤務が発表されている。政府からのテレワーク要請や3月からの学校の休校措置を受け、この流れは加速していきそうだ。

 日本経済新聞が2月28日に公開した緊急調査によると、約5割の企業が原則または一部で在宅勤務に切り替えているという(「在宅勤務5割、宴席自粛8割 新型コロナ対策企業調査」)。もちろん、在宅勤務になったのはあくまで一部であり、リモートワーク導入をまったく検討していないという業界や会社も存在する。しかし、東日本大震災や台風などの災害、SARSのようなパンデミックを経て、多くの企業で制度としては整えられてきたリモートワークがいよいよ実践に移されるようになったと言える。

 こうした中、Web系事業者やスタートアップなどの「リモートワーク先駆者」からは数多くの有益なノウハウがもたらされている。リモートワークでの進捗管理やコミュニケーションの取り方、在宅勤務時の時間管理などさまざまだ。また、リモートワークに有益と思われるサービスが、期限付きながら無償提供されることも増えている。さらに、非常時の現在では取引先や顧客相手でもリモートワークへの理解が得られやすい。マスクをしたまま会議に出席するのがもはや不自然ではないのと同じことだ。

 これらを総合すると、今こそリモートワークにチャレンジにすべきときと言える。自然災害、パンデミック、テロ、事件・事故など不測の事態に対応し、人手不足時代において柔軟な働き方を実現するためにも、今後の企業にはリモートワークは必須である。以下では、クラウドへの移行がまだまだ進んでいない企業のIT部門をターゲットに、リモートワークの始め方をツールとテクノロジーの観点で示していきたいと思う。

在宅勤務か、モバイルワークかで、要件が異なるPC

 まずはリモートワークのためのPCについて見ていこう。もちろん可搬性の高いノートPCにはなるのだが、一言でリモートワークと言っても、外出先でのモバイルワーク主体か、在宅勤務主体かで要件は大きく異なる。

 公衆のカフェやコワーキングスペースを前提としたモバイルワークの場合は、バッテリのもちやセキュリティが重要になる。また、セキュリティを考えると、公衆のWiFiはあまり推奨できないため、LTEの通信機能を内蔵したPCが望ましい。なお、公衆スペースでのWeb会議はセキュリティリスクの観点から基本避けるべきだ。

VAIO SX12とSX14

 一方、在宅勤務の場合は電源や無線LANが整っていることも多いため、ほぼ会社と同じ利用環境を想定すればよいだろう。とはいえ、子供やペットがいじるという事態も想定するべき。インターネット環境も千差万別なので、バックアップとしてLTEのようなキャリア通信を使える環境の方が望ましい。

 Web会議において特に考慮すべきなのは音質だ。最近のノートPCはWeb会議の利用を前提とし、マイクやスピーカーの位置が工夫されている製品も多いが、より安定した音質を得たいのであれば外付けの会議用スピーカーを導入してもよい。Web会議の体験が貧弱に感じる大きな原因は映像よりも音にあるので、投資は無駄にならないはずだ。

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