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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第552回

敵対的買収の攻防戦を繰り広げる現在のHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー

2020年03月02日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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3Dプリンター事業に参入

 Printingでもう1つ取り上げておくべきは3D Printingの話である。2014年、同社はMulti Jet Fusionと呼ばれる3Dプリンターを発表した。2014年の段階ではまだコンセプトモデルしか展示されなかったが、動画を公開し、Multi Jet Fusionで30分未満で作成した金属リングが4.5t(10000ポンド)の荷重に耐えることをアピールした。

 そして2016年にはHP Jet Fusion 3D 3200とHP Jet Fusion 3D 4200の2モデルが発表される。ちなみにこの写真ではプリンター本体のサイズ感が良くつかめないかもしれないが、その下の動画を見ればその大きさがわかる。

HP Jet Fusion 3D 4200 Printerと3Dマテリアルカートリッジ

 もっとも2016年の段階はまだ「発表」に留まっており、発売されたのは2017年に入ってからである。この当時だから3800万円という金額そのものは、他の3Dプリンターと比べてもそう高価ではなかったともいえる。

 その後、2019年7月にはハイエンドの大量生産向けとなるJet Fusion 5200シリーズと、逆に小規模な試作などに向いたJet Fusison 500シリーズを発表するなどラインナップ拡充を図っているが、従来のプリンタービジネスと異なりこちらは競合が非常に多い。

 安い方ではAmazonに3Dプリンタコーナーが設けられるほどであり、高い方は100万ドルを軽く超えるような製品がさまざまな工作機械メーカーから投入されている。例えばDMG森のLASERTEC 30 SLMを利用したパウダーベッド方式のデモは下の動画で確認できる。

 それもあってか、2019年の年次報告を見ても3D Printingに関しては「Additive Manufactureing(*)ソリューションをエコシステムパートナーとともに提供する」以上の話が出てきておらず、売上としてはビジネス向けプリンターの中に含まれているとは思うのだが、具体的にJet Fusion 3Dシリーズだけの売上がどの程度になるのかについての詳細は明らかにされていない。

 従来のプリンターのノウハウを生かす、といった説明が当初はあったが、なかなか苦戦しているようだ。

(*) 無理に日本語に訳すと「付加製造」になるのだが、要するに3D造形のことをAdditive Manufactureingと言うのが欧米では一般的という話で、それもあって日本でも単に頭文字を取ってAMということも多い。

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