Windows 10Xについて、資料やツールが公開されつつある。これらからWindows 10Xとは何かを調べた。まずは、エミュレーターを動かしている。
Windows 10Xとは、Windows 10の1つのバリエーションである。dual-screenデバイスで動作し、ユーザーにdual-screen Expreienceを提供するためのWindows 10という位置付けになる。簡単に言えば、「2画面タブレット向けのWindows 10」であり、「dual-screenアプリのプラットフォーム」と言ってもいいだろう。
Surface Neoとともに今年後半に登場するはずの
dual-screen環境とは?
dual-screen Expreienceとは、「dual-screenデバイスでdual-screenアプリを使うこと」を意味する。ただ、「Experience」→「体験」→「使うこと」という言い方は、どうも日本語的にはしっくりこない。そういう「環境」なのだと理解し、ここでは、dual-screen環境と表記する。dual-screen環境とは、PCとAndroidがターゲットであり、そこでdual-screenアプリを動作させることを狙う。

マイクロソフトが提唱するdual-screen環境は、dual-screenデバイスで動作するWindows 10XとAndroidに対して、dual-screen対応のWindows 10Xアプリ、ウェブアプリ、Androidアプリを動作させることができる(※マイクロソフト社公開資料より)
マイクロソフトを含む数社がリリースするdual-screenデバイス(2画面タブレット)に、年末までにはWindows 10Xがプリインストールされて発売される。dual-screenデバイスは簡単に言えば、2つの画面を持つタブレットである。いわゆる“ヨガ”ヒンジを持ち、液晶を背中合わせから閉じた状態まで360度回転させることができる。
マイクロソフトはSurface Neoと呼ばれるPCの製品イメージを公開しているが、同じようなdual-screenデバイスがHP、DELL、LENOVO、ASUSから発売予定だという。また、インテルもdual-screen環境のパートナーであり、Lakefieldプロセッサの利用を想定しているという。また、dual-screenデバイスには、Android系デバイスも含まれる。これは、マイクロソフトが発表したSurface Duoのように、2画面用にカスタマイズされたAndroidタブレット/スマートフォンである。
マイクロソフトは、dual-screenアプリとして大きく3つのタイプを想定している。1つは、Windows 10Xの上で動作するアプリである。もう1つはdual-screen用Androidの上で動作するAndroidアプリである。3つめは、dual-screenに対応したウェブアプリだ。
マイクロソフトは、これらの開発のためにdual-screen SDKやエミュレーターを提供している。dual-screen Androidデバイスは、dual-screenアプリを動作させるための機能をもち、カスタマイズされたHomeページ(AndroidのLauncher、Homeアプリなどと呼ばれるもの)を持つ。マイクロソフトはSurface Duoとして年内の発売を発表している。
このため、Windows 10Xとはdual-screenアプリを動作させるためのプラットフォームという言い方もできるだろう。
Windows 10Xエミュレーターを実際に動かしてみる
Windows 10Xエミュレーターは、専用のMicrosoft EmulatorとWindows 10X Emulator Imageからなり、どちらもMicrosoftストアから入手する。
ただし、利用には、物理ホスト側で仮想マシン支援機能の有効化(通常はBIOS/UEFIで設定)とHyper-Vのインストール(コントロールパネルの「プログラムと機能」の「Windowsの機能の有効化または無効化」)の必要がある。
Emulator Imageを起動すると、2画面のdual-screenデバイスのエミュレーションが開始され、その中でWindows 10Xが起動する。
Windows 10X Emulator Imageを起動したところ。Microsoft Emulatorの中では、通常のWindowsのようにWindows 10Xが起動される。起動すると、画面右側にエミュレーターを制御するツールバーが表示される
ただ、まだプレビュー版であるためか、調子よく動くものではない。物理ホスト側のスリープに合わせてスリープしたまま戻ってこなくなったり、ファイルシステムが崩れて、アプリが起動しなくなることなどがあり、スクリーンショットを撮るだけでも一苦労である。
エミュレーター画面の右側には、制御用のツールバーがある。ここで、タッチ操作やペン操作のエミュレーションの切り替えやエミュレーターの終了、システム状態の表示などがでっkる。このエミュレーターでは、dual-screenデバイス用にデバイスの向きや画面の表示モード、ヒンジの角度などを調整できる。
本来これは、ユーザーが開発したアプリケーションをテストする環境なので、デバイス状態を変更できるようになっているのだと思われる。

この連載の記事
-
第409回
PC
WindowsでのDeviceIDの仕組み -
第408回
PC
Windows上でCPUの負荷状態を調べためのいくつかの方法 -
第407回
PC
2025年以降もWindows 10に延長サポートがある可能性!? 対応ハードを絞る真の本命は次期Windows? -
第406回
PC
Windowsにおける言語設定とは -
第405回
PC
WSLプレビューVer.2.0.7でMirroredネットワーク、DNSトンネリングを試す -
第404回
PC
開発者向けに性能が高い、Windowsの「開発ドライブ」を試す -
第403回
PC
WSL Ver.2.0の新機能「自動メモリ回収」を実際に試す -
第402回
PC
プレビュー版が登場したWSLのVer.2.0 新機能を具体的に見る -
第401回
PC
内部的な改良で便利になったWindows Terminal v1.19での新機能を確認 -
第400回
PC
Windowsにおける音声認識など、ボイス機能を整理 -
第399回
PC
Windowsではプロセスからプログラムに関するさまざまな情報が得られる - この連載の一覧へ