前回インテルの今後のロードマップを解説したのだが、これまで触れてこなかった話題が1つあるので今回はそれを説明したい。
モバイル向けプロセッサー
Lakefieldを1月に発表
今年1月にインテルはLakefieldという、新しいモバイル向けプロセッサーを発表した。このLakefieldは3Dパッケージング技術であるFoverosをベースに、Sunny CoveベースのBig CoreとAtomベースのSmall Coreをミックスするという、ARMのbig.LITTLEのような構成になっている。
AndroidはともかくWindowsでbig.LITTLEをどう扱うつもりなんだろう? と最初に見たときには首をひねったのだが、よく考えるとマイクロソフトはARM版Windows 10を提供する段階で、big.LITTLEを実装している。
というのはQualcommのSnapdragonがまさにbig.LITTLEを利用しているので、Windowsのスケジューラーがこれに対応できないとまずい。
この段階ではおそらくはARM版だけがbig.LITTLEをサポートしているものと思うが、インテルが同様のプロセッサーを出せば、マイクロソフトはこれをx86(なのかx64なのかはまだ不明だが)向けに移植することはそれほど困難ではないだろう。
AtomベースのSmall Coreが
Tremontだと判明
さて、話を戻すと1月の段階では、Big CoreはSunny Coveであることが明らかにされたが、Small CoreはAtomベースのもの、という以上の話ではなかった。
このSmall Coreに関してもう少し詳細が明らかにされたのは、今年8月に開催されたHot Chips 31である。“Lakefield: Hybrid cores in 3D Package”と題された講演で、Small CoreがTremontであることが確認された。
Tremontというコード名そのものは昨年12月に行われた2018 Architecture Dayのロードマップで出ていたものの、その詳細は一切明らかにされていなかった。HotChipsでも内部構造の話は一切出なかったが、性能グラフが示された。
このグラフから、以下のことがわかる。
- TremontはSunny Coveに比べてより少ない消費電力でも駆動できる。おそらく動作周波数の下限がより下になっていると思われる。ただし相対性能で50%あたりでクロスオーバーするあたり、あまり高速動作に向いた構成にはなってないはずだ。
- 4コアのTremontが1コアのSunny Coveよりも高い性能を出せる。Relative Powerが60%ほどのところで、Sunny CoveのRelative Performanceは48%程度、他方4コアのTremontは87%程度で、倍近い性能になっている。
ところで少し気になるのは、右側のグラフ。インテルとしては以下の使い方を考えているようだ。
- シングルスレッド性能が必要なシーンでSunnyCoveコアを利用
- マルチスレッド性能が必要なシーンではTremontコアを利用
単純に負荷が軽いときにはTremont、という感じではなさそうだ。このあたり、どういうスケジューラーの実装が求められるのか興味深い。
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