改正電気通信事業法の施行により、10月1日にドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアが2年縛りなし、もしくは2年縛りがあっても違約料1000円という、事実上の縛りなしに移行する(ソフトバンクは9月13日から開始済み)。これは同じく法律の対象となる、サブブランドや大手MVNOの格安SIMも同様だ。
今後は高額費用の負担なく乗り換えができそうだが、実際のところどうなのだろうか。まだ発表されていないMVNOもあり、現時点で判明しているところでまとめてみたい。なお、消費増税もあり、今回の金額はすべて税抜で表記している。
大手キャリアから格安SIMへ乗り換えしやすくなる?
まず、3大キャリアの場合だが、10月以降は2年縛りなしや、縛りがあっても違約金が1000円という新しいプランしか申し込みできなくなる。既存プランの人は何もしなければそのままだが、auは新プランへの変更を申し込むことで違約金1000円の新プランへ、既存プランの違約金なしで変更できる。ソフトバンクも縛りなしプランへ、既存プランの違約金なしで変更できる。
しかし、ドコモだけは既存プランから新プランへ変更しても、更新期間以外に解約した場合はこれまでと同じ違約金がかかってしまう。
また、そのほかにプラン限定の割引を受けているというケースもあり、契約状況によっては別のお金がかかることもある。人によって有利不利の条件は異なるので、確認しながら申し込みたい。
一部に制約があるとはいえ、au、ソフトバンクは既存プランの利用者もいったん新プランに変更することで今までよりも解約や転出がしやすくなる。消費増税もあって携帯電話料金の見直しのため、乗り換えを検討する人には有利だ。
一方で格安SIMだが、対応はさまざまで、音声通話プランによくある1年縛りが撤廃される事業者があるほか、10月1日以降の新規契約者でないと縛りなしや違約金が1000円にならないところもある。
また、無理に新プランへ変更をすると既存プランと同等の違約金がかかってしまうこともあるので注意が必要だ。楽天モバイルなどがそうで、既存プランの契約期間満了時期までは違約金なしには契約期間が設定されていない新プランへは移行できない。
MVNOの格安SIMの場合はサービスによって
既存ユーザーへの対応はバラバラ
さて、それぞれの状況をもう少し細かくみていこう。前述したように格安SIMであっても、大手のMVNOは3大キャリアと同じく、10月1日からの規制を受けるため、長期契約の違約金が1000円に制限され、割引などにも細かく制限が行なわれる。
まず、MVNOの格安SIMのこれまでの縛りについては説明すると、とてもシンプルだった。一部を除いて音声通話付きの契約のみ縛りがあり、新規契約後半年~1年間は違約金など1万円前後の違約金を払わないと解約やMNPによる転出ができないというだけだった。
そして、その期間が経過すれば、いつ解約しても違約金などは一切かからないことが一般的な格安SIMの特徴。2年に1度、というものではない。そして、データ専用回線については長期契約を強制するものがほとんどの事業者で無かった。
今回の変更では、単純に音声通話付きの契約にあった半年~1年以内の違約金を、NifMoは完全に撤廃、IIJmioは1000円に値下げとなる。どちらもそれ以外に変更はなく、新しいプランが用意されるわけではない。
ただ、既存契約者の扱いは異なる。10月1日以降、NifMoの場合は既存契約者で最低利用期間を満たしていなくても違約金がなくなるが、IIJmioのように9月30日までに契約した回線は従来どおりの違約金がかかるところもある。制度が変わったからといって、既存契約者がすぐに違約金なしや1000円で解約できるところばかりではないので注意が必要だ。
また、現在のところ、すべてのMVNOの格安SIMが10月以降のサービスを発表したわけではない。ギリギリになって、違約金なし or 違約金1000円、既存契約者の違約金も同時適用なのか10月1日以降に契約した回線だけが適用なのかが発表されるはずなので、自分が加入している格安SIMの動向はチェックしておいたほうがいい。

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