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「Slack Best of Breed」でアプリ連携とカスタマイズを学ぶ

Slackがノンコーディングの「ワークフロービルダー」をデモ

2019年09月12日 10時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders

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 2019年8月30日、Slack JapanはSlackと他社のアプリとの連携にフォーカスした「Slack Best of Breed」を開催した。前半はSlack Japanのメンバーが登壇し、Slackのアプリ連携の概説、アプリ連携やワークフロービルダーのデモ、Slack APIを用いた開発手法まで幅広く共有された。

Slackと他社のアプリを連携するための2つの方法

 「アプリ連携で生産性を向上するには」のテーマでSlackのアプリ連携にフォーカスしたSlack Best of Breedも今回で2回目。冒頭登壇したSlack Japan 事業開発・アライアンス・マネージャーの上田純平氏は、「前回、ものすごくポジティブな反応だったため、2回目を迎えることができました」とアピールし、まずはSlackの概要とアプリ連携について説明した。

Slack Japan 事業開発・アライアンス・マネージャー 上田純平氏

 Slackは2019年1月にデイリーのアクティブユーザーが1000万人を越え、現在は米国外の利用が50%を越えている。ちなみに日本のユーザー数は世界で2位になっており、テック企業以外の導入も増えているとのことだ。また、開発者もすでに50万人を超えているという。

 このSlackとアプリを連携させるには、生産性や職種など連携アプリを分類した「Appディレクトリ」からアプリを導入する方法が挙げられる。Appディレクトリを使えば、開発者でなくとも、手軽にアプリ連携を利用できる。Appディレクトリのアプリ掲載数は1500以上。日本でのアプリ連携も進んでおり、上田氏は、「1年前は14社だったけど、58社になっている」とアピールした。また、Slack APIを使って自ら「カスタムアプリ」を開発するという方法もあり、こちらは45万を超えるという。

Appデイレクトリとカスタムアプリで構成されるSlackのプラットフォーム

実は相性のよいOffice 365との連携もデモ

 続いて登壇したSlack Japan シニアソリューションエンジニアの水越将巳氏は、プライベート、パブリック、共有などSlackの基礎となるチャンネルの概念を説明しつつ、具体的なアプリ連携デモを披露した。具体的には、Googleドライブへのアクセス設定、Botを使ったミーティング時間の調整、NAVITIMEを使った訪問時の経路検索、Salesforceの参照や更新まで、すべてSlackのチャンネル内から行なって見せた。

Slack Japan シニアソリューションエンジニアの水越将巳氏

 SlackはOffice 365とも相性がよい。水越氏は、メール画面からSlackに直接投稿したり、Outlookカレンダーの会議参加依頼に返答したり、OneDrive内の資料を直接Slack内で扱うといったデモを披露した。

 また、検索についてもアピール。投稿されたメッセージをナレッジとして利用できるため、Slackでは「メッセージ」「ファイル」「チャンネル」「人」などを単位にした強力な検索機能を持つほか、特定条件のフィルタリングもかけられるので、必要な情報に迅速に行き着くという。

 さらに発表されたばかりのワークフロービルダーを使えば、ノンコーディングでSlackを使ったワークフローを設定できる。水越氏は会議室の利用申請を例に、Slack内でのワークフローをデモ。ワークフロー作成のデモもクローズドパイロット版で披露されたが、来客申請や休暇申請、ITヘルプ、従業員オンボーディングなどからテンプレートを選択し、メンバーの選択やフォーム作成、テキストなどを作成すれば、ワークフローが完成。非常に簡単そうだった。

ノーコードでワークフローを定義できるワークフロービルダー

 このようにSlackでアプリ連携を行なうと、わざわざログインせずとも、チャンネル内からシームレスにアプリやカスタムBot、業務ワークフローを利用できる。水越氏は、「組織やチームの透明性を確保し、業務を効率化できる。無駄な時間を使わないで済むのでイノベーションを創出できます」とアピールした。

カスタムアプリ開発を支援するワークフロービルダーやBolt

 Slack Japanの三番手はパートナーエンジニアの瀬良和弘氏。「Slack APIやワークフロービルダーを利用したSlackカスタマイズの可能性」と題して、Slack APIやワークフロービルダーについて技術的な説明を行なった。

Slack Japan パートナーエンジニア 瀬良和弘氏

 前述したとおり、Slackでのアプリ連携はAppディレクトリで既存のアプリと連携するか、自らカスタムアプリをSlackプラットフォーム上に開発するという2つに分けられる。このうちカスタムアプリの開発も、ServiceNowやZapier、WorkatoなどのiPaaSを使うことでコーディングなしで作る方法と、Slack APIで自ら開発するという手法がある。

 ワークフロービルダーはコーディングなしで開発を支援するSlack純正iPaaSツールと考えてよい。瀬良氏は、新人が入るまでのワークフローを作成するデモを披露。開始点となるトリガーからステップを設定し、「新しいメンバーが入る」というトリガーが起動したら、ウェルカムメッセージを出す」「PC申請のフォームの入力を依頼」「申請内容をヘルプデスクに通知」といったステップを作れっていけばOKだ。緊急度を示す絵文字を条件に入れたり、送信ステップに変数を入れることもできる。現時点では、Slack内でのワークフローにとどまっているが、将来的には外部アプリとも連携できる見込みだ。

 また、SlackではAPIを用いたカスタムアプリの開発も支援している。Slackではユーザーの操作がSlackのAPIサーバーに伝わり、さらに開発したカスタムアプリが他のサービスを仲介する構成になっている。このカスタムアプリとSlackのAPIとのやりとりをカバーし、開発を容易にするために作られたフレームワークが「Bolt」になる。さらにUIも改善されており、「Block Kit」という部品化により、モバイルアプリのようなリッチなUIがSlack上で実現できるという。

Slack APIを用いたカスタムアプリとBoltのカバー範囲

 このようにSlackではユーザーにあわせてさまざまなカスタマイズ手段が用意されている。イベント後半の東京電力エナジーパートナーとFiNCの事例は別稿でお伝えする。

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