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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第526回

HPを長く牽引したAT互換機Vectraシリーズ 業界に多大な影響を与えた現存メーカー

2019年09月02日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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 しばらく間が空いてしまったが、業界に多大な影響を与えた現存メーカーシリーズのHP編を続けよう。さて、ThinkJetLaserJetでAT互換機市場への足掛かりをつかんだHPであるが、もっと直接的にAT互換機そのものも手がけていた。

販売が長く続いたAT互換機
HP Vectraシリーズ

 それが1985年に発表になったHP Vectraシリーズである。実はこのVectraというラインナップはかなり息が長く、2001年末までこの名前を冠した製品がリリースされていた。Vectraの名前が消えたのは、2002年にCOMPAQ Computerを買収したことで、製品ラインナップをCOMPAQに寄せたからである。

 このVectraを手がけたのは、Personal Office Computerという1982年にできた部門である。もともとはData Terminal部門の半分とGeneral Systems部門が合併した部門である。ここが最初に手がけたのはHP-120というZ80ベースのCP/Mマシンである。

HP-120。この当時3.5インチFDDを採用した機種はそう多くないのだが、それもあってかシステム全体がオリジナルのHP-125よりずっと小さくまとまった。価格は4550ドル

 ただこれは厳密に言えば、その前にHP-125というマシンをGeneral Systems部門が1981年にリリースしており、このHP-125と中身は同じままながらよりコンパクトに再設計しなおしたものである。

CRTの形状がなかなか格好いいが、HP-125(とキーボード)は1978年にリリースされたHP 2621Aというデータターミナルの筐体をそのまま流用している。ちなみに本体は手前(フロッピーディスクが載っている箱)。価格は4950ドル

 このHP-125の筐体を利用して1983年10月にリリースされたMS-DOSマシンがHP-150(型番はHP 45611A)というマシンである。HP初のMS-DOSマシンであり、8088ベースのマシンながら価格が2795ドルと安かったこともあってか、売れ行きは「悪くなかった」。

本体はHP-120に非常に近いが、キーボードはIBM-PC互換のものに変わっている。ファンクションキーの長さが不均等だし、いわゆる101キーボードとも違う配置になっているあたりがおもしろい

 「良かった」とは書けないのは、HP自身がこのHP-150で市場シェアの22%を獲るというあからさまな高望みをしたものの、実売は全然それに追いつかなかったためだ。基本的にはIBM-PC互換(XT互換ではない)のマシンで、しかもIBM-PCに比べて1000ドルほど高かったのだから、そりゃ売れるわけもない。

 加えて言えば、MS-DOSは動くが、これはHP-150用のMS-DOSという話で、IBM DOS互換ではなかったから、市場に出ているIBM-PC用のソフトがそのまま動くわけではなかった。

 これで市場シェアを獲ろうというのが(今から思えば)間違いである。初年度は4万台のHP-150が販売されたが、そのうち半分はTerminal Emulatorを載せてHPのシステムと組み合わせて販売される形になった。とはいえ、HP-150のおかげでPersonal Office Computer部門の売上は3倍になった。

 1983年、同部門のHP-120/HP-125の売上は合計5000万ドルほどだったのが、1984年にはHP-150のおかげで合計の売上は1億6000万ドルに跳ね上がった。もっとも翌1985年には1億4000万ドルに下がっており、その意味でHP-150はそこそこには売れたものの、大成功には遠い製品であった。

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