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業界人の《ことば》から 第356回

「空飛ぶクルマ」実用化のカギは、震災被害を被った福島に

2019年08月16日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII

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50haの規模で屋内飛行やフィールド実験ができる

 福島県の南相馬および浪江にまたがる福島ロボットテストフィールドは、東京ドーム10個分にあたる約50haという規模を誇り、すでに30を超える企業や研究機関が、ドローンや空飛ぶクルマの研究開発を進めており、東北大学やドローン関連事業者の入居も決定。8月2日からは追加の入居募集も開始している。

 2020年春には全面開所が予定されており、飛行に関わるさまざまな試験が可能だ。

 たとえば、緩衝ネットで覆われた国内最大級の屋内飛行場では開発初期段階の空飛ぶクルマも、安全かつ確実に試験ができるほか、南相馬と浪江を結んだ13kmの広域飛行区域では、地域住民の理解を得て、円滑な長距離試験飛行が可能になっており、各種レーダーによる情報収集なども可能だ。

 さらに、さまざまな環境での離着陸を試験するために、模擬市街地での離着陸試験をはじめ、模擬土砂災害地、模擬水害地を再現したフィールドを活用することもできる。

 これらの試験施設の提供だけでなく、実証実験の仲介を支援するワンストップ支援も展開。ここでは飛行ルート付近の地区長への説明に至るまで、手厚く支援する体制を整えているという。

 「一歩出れば試験環境があるフィールドが用意されている。空飛ぶクルマの開発サイクルも加速できるだろう。自動車にたとえると、自動車教習所や車検場で行なう評価のルールを検討し、実際に評価できる拠点になることを目指す」とするほか、

 「すでにドローンにおいては、主要業界団体や大学、国立研究開発法人と協定を締結し、操縦、機体、運行管理の評価手法を検討し、ドローンに関する制度構築にも深く関与している。産学官の連携によって、ロボットの安全性を評価できるナショナルセンターを目指したい」と述べた。

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