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業界人の《ことば》から 第356回

「空飛ぶクルマ」実用化のカギは、震災被害を被った福島に

2019年08月16日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII

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空飛ぶクルマの試験飛行ができる唯一の拠点

 福島県が、空飛ぶクルマに対して積極的な動きをみせる背景には「福島ロボットテストフィールド」と呼ばれる施設を、県内に持っている点が見逃せない。

 同施設は、福島県東部太平洋沿岸部の「浜通り」地域の復興を目指す国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」の中核的役割を果たすもの。「空の移動革命に向けた官民協議会」がとりまとめたロードマップのなかでは、空飛ぶクルマの試験飛行ができる唯一の拠点として整備することが盛り込まれており、関連法令を遵守しながらの試験飛行が可能になるという。

 福島県の内堀知事は「東日本大震災から8年あまりを経過し、福島の復興は着実に進んでいる。すでに、製造品出荷額は震災前を超える水準になってきている。

 だが、いまでも福島県全体の2.5%が避難指示区域になっている。とくに、福島県の東側にある浜通りは、地震、津波、原発事故、風評被害というすべてを受けている地域であり、まだまだ厳しい状況が続いている。避難地域を含む福島県東側(双葉郡)では、製造品出荷額が震災前のわずか18%に留まっている。国家プロジェクトである福島イノベーション・コースト構想は、この地域の再生、産業構造の活性化に力を入れるものになる」とし、

 「そのなかで中核のひとつになるのが、世界に類をみない福島ロボットテストフィールドである」と位置づける。

 そして「被災地からイノベーションを起こすためにも、空飛ぶクルマの関係者に対する開発環境の提供や、制度構築の手伝いなどにも力を尽くしていく」と語った。

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