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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第523回

第2世代EPYCは性能/消費電力比が大幅に改善 AMD CPUロードマップ

2019年08月12日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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ピーク性能よりも性能/消費電力比を重視

 最後に動作周波数周りの話をする。たとえばハイエンドになるEPYC 7742の場合の動作周波数とActive Core数の関係は下の画像のようになっている。

16コアまでは3.4GHzが維持され、64コアでも3.2GHzと比較的差が少ないのが特徴的。このあたりはRyzenとは異なる振る舞いになっているのがわかる。要するに、無理に4GHz超えなどをさせないわけだ

 ピーク性能よりも、平均性能あるいは性能/消費電力比を悪化させない、というのがパフォーマンスの基本になっており、命令セットによる消費電力調整がない(インテルのAVX2/AVX512オフセットに相当するものがない)というあたりも、無理に動作周波数を引き上げていないことが見て取れる。

 性能はむしろコア数で稼ぐ方向であり、このあたりは7nmプロセスにしたことで、コア数にゆとりが出たこ事の反映とみて良いだろう。

 製品のラインナップであるが、下の画像が2 Socket向け、さらにその下の画像が1 Socket向けである。この2 Socket向けについて初代のEPYCと混ぜる形で動作周波数およびTDPをまとめたのが表である。

2 Socket向けのラインナップ。おもしろいところでは、今回12コアのラインナップが追加されている。7272がそれで、スペック的には7251の代替を狙っているのかもしれない

1 Socket向けのラインナップ。末尾にPが就くのは初代と同じ。48コア製品はラインナップされない。価格は2 Socket向けよりも若干安いのも初代と同じである

第1世代と第2世代EPYCの動作周波数およびTDP(太字が第2世代
モデルナンバー コア数 ベースクロック(GHz) 最大ブースト
クロック(GHz)
最小cTDP(W) デフォルトTDP(W) 最大cTDP(W)
7251 8 2.10 2.90 120
7252 8 3.10 3.20 120 150
7261 8 2.50 2.90 155 170
7262 8 3.20 3.40 155 180
7272 12 2.90 3.20 120 150
7281 16 2.10 2.70 155 170
7282 16 2.80 3.20 120 150
7301 16 2.20 2.70 155 170
7302 16 3.00 3.30 155 180
7351 16 2.40 2.90 155 170
7352 24 2.30 3.20 155 180
7371 16 3.10 3.60 200
7401 24 2.30 3.20 155 170
7402 24 2.80 3.35 165 180 200
7451 24 2.00 3.00 180
7452 32 2.35 3.35 155 180
7501 32 2.00 3.00 155 170
7502 32 2.50 3.35 165 180 200
7542 32 2.90 3.40 225 240
7551 32 2.20 3.00 180
7552 48 2.20 3.30 165 200
7601 32 2.20 3.20 180
7642 48 2.30 3.30 225 240
7702 64 2.00 3.35 165 200
7742 64 2.25 3.40 225 240
※太字が第2世代EPYC

 初代EPYCはモデルナンバーの末尾が1、第2世代は末尾が2となっていることでそれとわかる。比較してみると、たとえば同じ8コアの7251と7252では、ベース周波数が1GHz以上引き上げられているし、16コアの7301と7302でもやはり結構な引き上げになっている。

 32コアの7501と7502では、さすがに7502が定格ではTDPが180Wになるので、Configurable TDPで165Wの動作モードを提供しており、この場合では多少最大動作周波数は落ちると思うのだが、それでもベース周波数は2.5GHzまで引き上げられているあたり、同じコア数であれば確実に動作周波数のアップが実現されている。

 あるい初代EPYCの32コア製品である7501と、第2世代で64コアの7702を比較すると、ほぼ同じTDP(155W vs 165W)で同じベース周波数ながらコア数が倍増しているわけで、アップグレードによって確実に性能がアップしている(あるいは性能/消費電力比が大幅に改善している)ことが推定できる。

 ところで先ほど触れた性能の話を。下の画像はInteger PerformanceとServer Side Javaの性能を比較したものだが、メモリー帯域が8chのままでもほぼコア数が倍(32c64t→64c128t)になると性能が倍増しているあたりは、大容量3次キャッシュが良い仕事をしているということだろう。

Integer Performanceの方はおそらくはSPECIntあたりを利用したものと思われるが、脚注にも詳細の説明がない

 このあたりは実アプリケーションで検証の必要はあるのだが、AMDによればメモリーが8chのままでも十分スケールするというのが第2世代EPYCに対するメッセージということである。

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