第9世代Core&GeForce RTX 20シリーズの最強クリエイティブノートPC!
超美麗4K有機EL&世界初のAI搭載ノートPC「AERO 15 OLED」を触る
2019年08月08日 11時00分更新
DLSS効果がAIでブースト!?
続いては「MONSTER HUNTER: WORLD」にHi-Res Texture Packを組み込んだ環境で試す。集会所を作成し、一定のコースを移動した時のフレームレートを「OCAT」で測定した。画質は「最高」に設定したが、このゲームはWQHD以上だとRTX 20シリーズだけが利用できる「DLSS」を効かせることができる。そこで、4K解像度時はDLSSを有効(シャープネスは0.3)にしたときの値も計測している。
AIでフレームレートが伸びているのはこれまでのゲームと同様だが、4KでDLSSを効かせると最低フレームレートがドッと伸びている点に注目。平均フレームレートがようやく30fpsを超える程度なので超快適とは言えないが、DLSSの効果は確かにあるようだ。
ただし、内蔵ディスプレーを使う場合、フルスクリーンのWQHDでプレイできない点が非常に惜しい。リフレッシュレートの仕様と同様、外部液晶を使うかウィンドウモードで遊べば良い話ではあるのだが、せっかくの美麗4K OLEDで思う存分遊びたいと思うのは当然の欲求ではなかろうか。
以上のようにAIはゲームに効く……と持ち上げたいところだが、良い面ばかりではない。今回試した範囲では、AIをオンにするとDirectX 12ゲームの動作がおかしくなることが多々あった。ゲームが起動しないとか、すぐ落ちるなどかなり致命的な問題だが、これがAIの影響なのかどうかは確たる情報がない(オフにしても落ちる時は落ちた)。Azure AIもまだまだ未完成な部分があるようだ。
なぜゲームで性能が上がるのか?
今回の検証では、AERO 15 OLEDに搭載されたAIはゲーム時に効果が見えやすいことがわかった。では実際AIをオンにするとどういった“チューニング”が施されるのであろうか? そこで「HWiNFO」を利用し、ゲーム(MONSTER HUNTER: WORLD)を30分プレイ状態で放置、その時のCPUやGPUのクロックや温度を追跡した。エアコンは25℃設定の室内で計測している。
CPUクロックはコア単位で変動するため、そのままでは非常に見にくいし、最大値と最小値だけ見ても差がわかりにくい。そこで6コアの平均値で比較したところ、AIをオンにしたほう(グラフ内の青い線)が若干CPUのクロックが高めに出ていることが確認できた。上のグラフでは20分を過ぎたあたりからより顕著になっている。
続いてはCPUのパッケージ温度も見てみよう。重量2kgで20mm厚とかなり薄型なので、いかにヒートパイプ5本仕様とはいっても冷却はそれなりにキツいはずだ。これも上のグラフと同じタイミングで計測したデータから抜粋している。
薄型ボディーに6コア/12スレッドのCPUを入れているためか、ゲーム中のCPU温度は91~93℃あたりで安定する。サーマルスロットリングのフラグも90℃を超えたあたりからほぼ入りっぱなしになるので、熱的な余裕はほとんどない印象だ。AIがオフでもサーマルスロットリングのフラグは立つので、高負荷な作業をする際はノートPC用のクーラーが欲しくなるかもしれない。
続いてGPUのクロックと温度を一度に見てみよう。
GPU温度はAIのオン・オフに関係なくほぼ同じカーブを描いて上昇するが、注目すべきはGPUクロックだ。AIがオフの時は1110MHzあたりで安定するが、AIをオンにすると1215MHzあたりで安定する。GPUクロックが上がるのだから、ゲームのパフォーマンスが上がるのは当然だ。Media Encoder CCもGPUパワーをデコードに使うので、処理が高速化するのも頷ける。
まとめ:AIは抜きにしても満足度は高い
AERO 15 OLEDはやはり有機ELディスプレーの美しさが心に強く残った。ゲームをより美しい画面で楽しみたい人はもちろんだが、やはりRAW現像などをやる人に使っていただきたいところ。ハードの基本スペックの充実度はもちろん素晴らしいが、このディスプレーのためだけに買っても惜しくはないほどだ。
薄型設計だけにゲーム中の温度が高止まりするとか、まだ学習不足なのかAzure AIが一部の処理では足をひっぱるなどの荒削りな面もある。だが、AIは今後も進化する可能性があるため、「現状では荒削り」という評価にとどめたい。税込みで31万円強と決して安くはないマシンだが、一度は使ってみたいという所有欲をそそられるマシンに仕上がっている。