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石川温のPCスマホニュース解説 第48回

クアルコムとの交渉を対等に持っていくためか:

アップルがインテルのモデム事業を買収する本当の理由

2019年07月31日 09時00分更新

文● 石川温

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●10億ドルで買ったのは「交渉の切り札」か

 そう考えると、仮にアップルでも、自社でモデムチップを開発できても、クアルコムに対抗できるだけの省電力設計や安定した通信品質を確保できるかは、かなり怪しいと言わざるを得ない。

 ただ、一方で、アップルが自社で開発し、製品化できなくても、何ら問題はないのかもしれないという考え方もできる。

 クアルコムに対して「うちは自社で開発できる体制がありますよ」とアピールするだけで、クアルコムとの交渉において、少なくとも一方的に高価な金額をふっかけられることはないはずだ。

 製品化の可否には関係なく、交渉の切り札があるとないとでは大違いなはずだ。

 そう考えれば、アップルとしては5Gモデムチップの内製化を焦る必要はない。クアルコムを調子に乗せず、交渉を対等に持っていくための「10億ドル」と割り切れるのではないだろうか。


筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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