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石川温のPCスマホニュース解説 第48回

クアルコムとの交渉を対等に持っていくためか:

アップルがインテルのモデム事業を買収する本当の理由

2019年07月31日 09時00分更新

文● 石川温

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●クアルコムには3Gや4Gのノウハウがある

 クアルコムにはスマートフォン向けモデムチップに関する膨大な特許が存在する。

 もちろん、アップルもこうした特許を利用することは可能だが、その際にはライセンス料が発生する。ただし、インテルのモデムチップ事業も特許を持っているので、「クロスライセンス」という形で、負担額をおさえることは可能だろう。

 だが、クアルコムは、モバイル業界においての長年のノウハウが蓄積されている点が強いとされている。

 たとえば、モデムは無線につながるのが役目だが、世界には何百というキャリアが存在し、それぞれ、GSM、W-CDMA/HSPA、TD-SCDMA、LTE、5Gなどの規格が存在する。

 それぞれの規格にきちんと接続するだけでなく、電波の状況に応じて、自在に切り替えるのに相当、ノウハウが必要なのだ。

 また、キャリアアグリゲーション(CA)として、複数の周波数帯を束ねて高速化させるという技術があるのだが、この周波数帯も国やキャリアによって使っているものが異なるため、周波数を束ねると言っても、何億という組み合わせが存在するという。

 クアルコムは他社に比べて圧倒的にこうしたノウハウを蓄積しているとされるのだ。

 かつてのインテルは、3Gや4Gを軽視し、5Gから開発に注力して、クアルコムに戦いを挑んでいた。確かにパソコンなど、ユーザーがあまり移動することなく、5Gの電波だけがつながればいいようなデバイス向けであればなんとか事業化できるかもしれない。

 しかし、スマホのように常に移動しながらネットに接続するデバイスでは、3G、4G、5Gと、状況に応じて使う技術が異なるため、5Gの技術だけでは太刀打ちできず、3Gや4Gのノウハウが不可欠なのだ。

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