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ソニーミュージックが音楽著作権の管理にAmazon Managed Blockchain採用

2つのAWSブロックチェーン「Amazon Managed Blockchain」と「Amazon QLDB」の使い分け

2019年06月12日 12時30分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 AWSジャパンは2019年6月11日、AWSのブロックチェーン関連サービスに関する記者説明会を開催。米AWS ビッグデータ/データレイク/ブロックチェーン担当 ゼネラルマネージャーのラフール・パターク氏が、5月にGAした「Amazon Managed Blockchain」と、現在プレビュー中の「Amazon Quantum Ledger Database(QLDB)」の2つのサービスについて解説した。

 また、ソニー・ミュージックエンタテイメントが、音楽の権利情報処理システムにAmazon Managed Blockchainを国内で初めて採用したことが発表された。

米AWS ビッグデータ/データレイク/ブロックチェーン担当 ゼネラルマネージャーのラフール・パターク氏(左)、ソニー・ミュージックアクシス 執行役員 情報システムグループ 本部長の佐藤亘宏氏(右)

AWSブロックチェーンは仮想通貨ではなくエンプラにフォーカス

 パターク氏は、ブロックチェーンとは「信頼関係のない複数の当事者間で取引をする際に、取引のログを記録し、それを改ざん不能かつ検証可能にするアプリケーションを構築する技術。中央集権なしにそれを成立可能にするもの」と説明。主に、分散台帳(当事者間で取引ログを共有)、合意アルゴリズム(ログを改ざん不能にするメカニズム)、スマートコントラクト(あらかじめ設定したルールに基づいて取引を自動実行、記録する)の3つの要素技術で構成される。

ブロックチェーンネットワークとは

 データが改ざんされていないことに加えて、中央機関による監査の時間・コストを排除し、複数の組織にまたがるビジネスロジックを自動化によってシンプルにできるというメリットがあるとする。「ブロックチェーンは仮想通貨に紐づけて語られることが多いが、AWSは仮想通貨ではなくエンタープライズでの利用にフォーカスしている」(パターク氏)。

 仮想通貨以外の用途でのブロックチェーン活用については、すでに様々な業界で実証や実導入が進んでいる。パターク氏は、ブロックチェーン活用の例に、スマートコントラクトの事前ルールに基づいた金融取引の自動化、複数の医師が読み書きする電子カルテの履歴管理、製造業のサプライチェーンのトレーサビリティ実現、デジタルコンテンツの所有権管理などを挙げた。

ブロックチェーンの用途

 AWSには、フルマネージド型台帳データベース「Amazon Quantum Ledger Database(QLDB)」、フルマネージド型ブロックチェーンサービス「Amazon Managed Blockchain」の2つのブロックチェーン関連サービスがある。2つのサービスの違いについて、パターク氏は、Amazon QLDBは「データは不変で改ざんできない状態にしたいが、分散化は必要ない(単一の機関が台帳を管理すればいい)用途向け」、Amazon Managed Blockchainは「分散化された信頼が必要で、複数の当事者がそれぞれデータを検証できるようにしたい用途向け」と説明した。

AWSの2つのブロックチェーン関連サービス

ログデータの不変を検証できるAmazon QLDB

 Amazon QLDBは、データの変更や削除の履歴が完全に記録されるデータベースサービスだ。「従来型のデータベースは、データベースからログを生成する。逆にAmazon QLDBは、ログを記録するデータベース」とパターク氏。「(従来型データベースのログは)そもそも管理者が改ざんできないようにはなっておらず、データが変更されていないことは検証できない。それに対してAmazon QLDBは、データの履歴を保存するインデックスと、データへの追記(変更や削除)をブロックチェーンに格納するジャーナルによって、データの変更を検証可能にする」。

Amazon QLDB

 中央集権的に利用するAmazon QLDBはコンセンサスのルールが不要なのでスケーラビリティが高く、事前合意が必要なケースと比べて処理が2~3倍高速だとする。SQL APIなどを使って普通のデータベースと同じように操作できるのが特徴だ。

 具体的な用途の例としては、医療機器の在庫状況の検証・追跡、車両の権利者の歴史追跡、リコール製品の流通状況の追跡、人事部門での社員プロフィールの追跡など、単一の組織で管理できる台帳の不変を証明する使い方が挙げられる。

数クリックでブロックチェーンを作成できるAmazon Managed Blockchain

 Amazon Managed Blockchainは、複数のメンバーが参加するブロックチェーンネットワークを作成するためのフルマネージド型サービス。Hyperledger FabricとEthereumの2フレームワークをサポートする。数クリックで新規ブロックチェーンネットワークとAWSアカウントのメンバーシップを設定でき、メンバーの追加、分散台帳のコピーを格納するブロックチェーンのピアノ―ドの作成、ピアノ―ドを通じて作成したブロックチェーンアプリケーションのネットワークへのデプロイまで実行できる。

Amazon Managed Blockchain

 大規模な利用事例に、シンガポール証券取引所、シンガポール金融管理局、業界各社の共同プロジェクト「Project Ubin」がある。同プロジェクトでは、支払いや証券の精算・決算にブロックチェーンを使うことを検討している。また、保険会社のGuardian Lifeは、Hyperledger Fabricネットワークが運用の手間なく簡単に作成できる点に注目してAmazon Managed Blockchainを保険ビジネスで採用した。食品会社のネスレ・オセアニアでは、食品のサプライチェーンに関する情報を消費者に提供するために、Amazon Managed BlockchainのHyperledger Fabricネットワークを活用している。

シンガポール証券取引所でのAmazon Managed Blockchain導入事例

 同日、国内初の事例として、ソニー・ミュージックエンタテイメントが音楽の著作権管理にAmazon Managed Blockchainを採用したことが発表された。ソニーグループのデジタルコンテンツ権利情報処理システムに、今回、複数のクリエイターが共同制作した音楽の著作権を登録する際に、クリエイター間の同意をブロックチェーン上に記録する機能を追加した。

 ソニー・ミュージックアクシス 執行役員 情報システムグループ 本部長の佐藤亘宏氏は、今回の追加機能をAWSのIaaS上にスクラッチ開発した場合と、マネージドサービスのAmazon Managed Blockchainを利用した場合のコスト比較表を提示。IaaSではイニシャルコストが1500万円以上、ランニングコストが月額20万円以上かかる見込みなのに対して、マネージドサービスはイニシャルコスト100万円、ランニングコスト月額5万円程度に抑えられたと説明した。

Amazon Managed BlockchainとIaaSでスクラッチ開発したブロックチェーンのコスト比較

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