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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第104回

final初の完全ワイヤレス「ZE3000」は解像感髙く引き締まった低音が魅力

2021年12月20日 16時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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カラーは2色展開

 finalから自らのブランド名を冠した初の完全ワイヤレスイヤホンが登場した(*コラボ商品を除く)。秋のヘッドフォン祭 2021で披露されて注目を集めた「final ZE3000」だ。12月17日(金)に発売され、直販価格は1万5800円となる。

 名前から想像できるように、ZE3000は名機「E3000」のワイヤレス版として開発が進められた。E3000は低価格ながらもこの価格帯でありがちな低域や高域を誇張した音調ではなく、オーディオマニアも納得できるような自然な音作りで高評価を得ているイヤホンだ。

 この開発方針に基づき、音響工学や音響心理学などの学術的な知見をもとにして設計を進めたという。この目的を達成するために「f-Linkダンピング機構」と新設計ドライバーと「f-Core for Wireless」という2つの新機軸を搭載している。

筐体の内部構造

 f-Linkダンピング機構とは、筐体の内部圧力を最適化する設計のことだ。完全ワイヤレスイヤホンで防水機能を持たせようとすると、ベント穴(空気抜きの穴)を省かねばならない。この結果、低音特性が過多になりやすいという問題を抱えている。また、高域特性のチュニーニングも難しくしてしまい、ZE3000が目指す「自然な音の達成」は難しくなる。そこでfinalは内部に大きな音響空間を設けて内部圧力の最適化を目指した。ZE3000の筐体がほかの完全ワイヤレスイヤホンと比べて少し大きいのはこのためだ。

ドライバーの断面図

 さらに歪みの問題を少なくするために採用したのが、新設計ドライバーのf-Core for Wirelessだ。finalではドライバーを自社設計できる強みを生かして、製造方法から見直し、軽量かつより大きな口径に匹敵する性能を持つドライバーを新設計してZE3000に搭載している。

角ばった本体形状

 また、ZE3000では独自の三点支持方式で確実に耳に装着できるように、同社のAシリーズイヤホンのような角ばった形にしているのも特徴的だ。

 連続再生時間は7時間で、対応コーデックはSBC/AAC/aptX Adaptiveである。付属品は充電ケース、イヤーピース5サイズ(SS/S/M/L/LL)・USB Type-C充電ケーブルで、カラーはブラックとホワイトの二種類が用意されている。

 肝心な音質は3000番の名の通りに帯域バランスが優れていて、とても整ったサウンドだ。final監修の「ag TWS04K」と比べても誇張感が少なく、特に低域がタイトに引き締まって良くコントロールされている。低域の量自体は多くないが、インパクトがある良質なベースサウンドを生み出している。高音域は澄み切っていてよく上に伸びるが、キツさがなく、やはり良質な高域表現だ。低音が控えめなぶん、ボーカルが明瞭に聞き取れ、男声・女声それぞれの特徴がよくわかる。クリアで解像力が高いので声質のこまかな再現にも秀でている。

 全体の音質レベルとしては、E3000というよりも同社のAシリーズと比べたくなるほどだ。ジャズやクラシックなどはもちろん、ポップスやロックにおいても迫力よりもスピード感を重視する人にはおすすめだ。

 ZE3000はこれからの完全ワイヤレスイヤホンのスタンダードとなっていく実力を秘めた製品であると言えるだろう。

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