Ice Lakeのグラフィック性能は
Whiskey Lakeの最大2倍
次がグラフィック性能であるが、こちらは以前説明したとおり、EUを64基に強化している。これによりWhiskey Lake比で最大2倍のグラフィック性能というもので、実際Ice Lake-UとCore i7-8565Uを比較してのゲームのフレームレートは1.4~1.8倍に向上しているとする。
それどころか、基調講演でこそ出てこなかったものの、このIceLake-UをcTDPを利用して25W駆動させた上でRyzen 7 3700Uと比較すると、若干ではあるがIceLake-Uの方が性能が上回るというグラフも示された。
冷静に考えると、IceLake-Uは64EUで最大1.1GHz駆動なので、FP32では1024Flops/cycleで1.1TFlopsを叩き出すが、Ryzen 7 3700Uは10CU(Compute Unit)でGPUが最大1.4GHz駆動なので、理論上は1.8TFlopsの処理性能を持つ。つまりGPU単体性能ではRyzen 7 3700Uの方がはるかに上である。
では性能差はどこで生じているかといえばメモリースピードである。Ryzen 7 3700Uは定格でDDR4-2400×2、オーバークロック動作でもDDR4-3200×2までのサポートであり、一方Ice LakeはDDR4-3200のほかにLPDDR4/X-3733までのサポートがある。
さすがにLPDDR4/X-3733を利用する場合はDIMMではなくボード上に直接搭載になるので拡張性は期待できないが、帯域そのものはずっと上がる。上の画像のグラフを見て「メモリー構成はどうなっているのか?」と質問したものの「わからない」という答えだったあたり、非常に怪しい。
デモ機の説明は下の画像のとおり。メモリー8GBというあたり、もうSO-DIMMではなさそうで、だとするとLPDDR4X-3733あたりが搭載されている可能性は非常に高いと思われる。
ちなみにRyzenの方だが、以前デスクトップ向けRyzen APUの発表の際に、メモリーをオーバークロックするとグングン性能が上がるという結果が示されており、この特徴はRyzen 7 3700Uも共通だろう。
統合型グラフィックの場合、メモリー帯域不足が性能の最大のボトルネックであり、これに関しては確かにLPDDR4/XをサポートしないRyzenには多少ディスアドバンテージがあるわけだが、今後LPDDR4/Xではなく普通のDDR4をサポートする35/45W TDPのHモデルが「出たとしたら(反語表現)」、おそらくグラフィック性能はここまで高くはならないだろう。その意味では、インテルが基調講演でアピールしたほどのアドバンテージがGPUにあるとは言いにくい。
余談だが、先の機械学習のベンチマークも、とにかくInference(推論フェーズ)ではメモリーから大量にテストデータを読み出し、それをネットワークに通して判断するわけで、このネットワークに通す過程で当然煩雑にメモリーアクセスを行なう。
こうなるとメモリー帯域が広いほど有利であり、DDR4-2400までしかサポートしないCore i7-8565Uと、LPDDR4X-3733をサポートするIce Lakeではメモリー帯域が極端に異なる(38.4GB/秒 vs. 59.7GB/秒)わけで、当然性能に影響を及ぼすだろう。性能差がCascade Lakeの2倍からIce Lakeで2.5倍に増えたのは、このメモリー帯域の効用と考えられる。
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