「Automation Anywhere Enterprise 11.3.2」「IQ Bot 6.5」を提供開始
RPAのオートメーション・エニウェア、日本語OCR強化など最新版2製品
2019年05月24日 07時00分更新
RPAベンダーのオートメーション・エニウェア・ジャパンは2019年5月23日、“デジタルワークフォース”プラットフォーム製品の最新版「Automation Anywhere Enterprise 11.3.2」と、AI活用による自動ドキュメントデータ抽出ツールの最新版「IQ Bot 6.5」を提供開始した。Citrix仮想デスクトップ/仮想アプリへの対応、外部システムとのAPI連携などで機能を強化しているほか、ABBYY製の高精度な日本語対応OCRエンジンの標準組み込みなど、日本市場向けにも重要な機能強化ポイントがある。
Citrix環境でのロボット開発工数削減、外部連携APIの拡充なども
オートメーション・エニウェア(Automation Anywhere)は、2003年に米国で設立されたRPAベンダー。グローバルで1600社以上の採用実績を持つ。
同社が提唱するビジョンは、単なるRPAツールではなく、より広範な業務の自動化を可能にする“デジタルワークフォース”の実現だ。具体的には、サーバー型でスケールが可能なエンタープライズRPA、スキャンした紙文書や電子メールからのデータ自動抽出を可能にするAIツール、ビジネスデータ分析とRPAの運用分析の両機能を持つBIツールという3要素を組み合わせ、連携させることでその実現を目指している。
発表会に出席した同社 セールスエンジニアの秋本尚吾氏は、今回の新バージョンではまず、日本市場向けに大きな機能強化が図られたと述べた。具体的にはAutomation Anywhere Enterprise(以下AAE)、IQ Botの両製品において、ユーザーインタフェース(UI)の日本語化と、高精度な日本語対応OCRエンジンの標準搭載が行われている。
オートメーション・エニウェアでは昨年3月に日本法人を設立し、すでに製品マニュアルやサポート、eラーニングコンテンツなどは日本語での提供を開始していた。今回製品UIの日本語化も行われ、より導入がしやすくなった。秋本氏によると、これまで特に公共系の顧客から日本語UIへの要望が強かったという。
OCRエンジンでは、新たにABBYY製のOCRエンジンを標準搭載して日本語読み取り時の精度を向上させている。これまではオープンソースのOCRエンジンを搭載していたが、やはり日本語の読み取り精度が弱かったと秋本氏は説明する。なお同OCRエンジンの利用料は両製品のライセンスコストに含まれており、読み取り回数の制限や追加コストもない。
そのほかの主な新機能としては、まずAAE 11.3.2において、Citrix仮想デスクトップ/仮想アプリ環境向けのエージェント「Remote Agent for Citrix」が提供される。これはCitrixサーバーにインストールする軽量のエージェントで、仮想環境側にあるアプリでも、ローカルのアプリと同じように画面上のオブジェクトが指定できる。これによりロボットの開発工数が削減され、動作もより正確に、かつ高速に実行されるようになる。
またAAEでは、外部システムと連携するためのAPIも拡充されている。具体的には外部システムとのデータ送受信API、RPAロボットのステータス(稼働状態)や詳細情報を取得できるAPIなどが追加された。そのほか指定したURLを開くWebブラウザの選択機能(IE以外も利用可能に)、AAEインストール後のActive Directoryサーバーの自動検出機能、監査ログのSIEMへの連携機能などがある。
IQ Botでは、AIアルゴリズムの改善によってテキストの分類や選別の精度が約10%向上したほか、新規登録時の学習トレーニング時間も短縮されている。またAAEと同様に、Active Directoryサーバーの自動検出、監査ログのSIEM連携の機能が追加されている。