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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第42回

裁判でビジネスにケチがついた:

アップルApp Storeビジネスに暗雲か

2019年05月21日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●App Storeは独占的か?

 アップルは裁判棄却の理由として、顧客を相手にビジネスをしているのはアプリ開発者であって、価格決定権を持っていないアップルを訴えるのは無効であるとの主張を展開しました。しかし原告は、アップルの独占的な立場と30%という手数料設定を問題視しており、これが価格の上昇を招いていると主張しています。

 たしかに、iPhone向けに「アプリ」を提供しようとすれば、App Storeを経由しない手段は用意されていません。開発者は一般向けにiPhoneアプリを配布あるいは販売しようする場合、必ずアップルに申請を出して審査を受けなければなりません。またApp Storeの課金システムを使う場合、売り切りのアプリは30%、サブスクリプションモデルの場合、初年度30%、2年目以降の継続は15%の手数料も免れません。

 例外として、企業が内部向けに活用するアプリは、アップルの審査を経由せずに配布することができます。GoogleやFacebookは市場調査を目的に、社内向け配布のアプリを一般ユーザーに配布したことで、アップルから是正を求める制裁を受けたこともありました。

 iPhone向けアプリ配布で他に手段がない点は独占的とみる1つの大きな要因となります。ただしアップルは無料アプリを認めており、また無料アプリ内でApp Storeを介さないサブスクリプション課金や広告に対して、アップルが手数料を要求することはありません。

 またモバイルSafariを通じてWebアプリを配布する場合、アップルの審査や手数料を回避できる手段を用意している点が評価されれば、App Storeのビジネスを現在の形で維持することは可能ではないか、と考えることもできます。

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