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2019年の時計業界を展望!「バーゼルワールド2019」レポート第7回

シチズン時計の技術の最高結晶モデル

世界最高精度「年差±1秒」のザ・シチズンがエコ・ドライブで登場

2019年04月29日 10時00分更新

文● 飯島恵里子/ASCII

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1秒の美しさを伝えるために誕生した

 シチズン時計が2019年3月にスイス「バーゼルワールド」で発表したのが、時計の進み・遅れを1年というスケールで表す「年差」が±1秒という、アナログ式光発電腕時計では世界最高精度*のエコ・ドライブムーブメントを実装した腕時計を発売するというもの。

 ムーブメント「キャリバー 0100」自体は、2018年3月にバーゼルワールドで発表したが、ここまで速いスピードで商品化できたとは驚きだ。

自律した時計内部の機構だけで高精度を実現

 正確な時刻情報の取得といえば、我々は電波塔や人工衛星を思い浮かべる。しかし「2001年宇宙の旅」でHAL 9000が暴走したように、よりどころにしていた情報提供先を頼りにできなくなったら……。

 シチズンは時計内部の機構だけで高精度を実現するために、一般的なクオーツ時計に用いる「音叉型水晶振動子」の替わりに、パソコンなどの大型の精密機器で使用されている「AT カット型水晶振動子」に着目。

 さらに腕時計のムーブメントで使用するには消費電力が大きすぎるという問題を、ムーブメントの素材選び、設計、製造、組み立てを自社でおこなう「マニュファクチュール」の利点を生かして、光で発電する「エコ・ドライブ」によって駆動する8.4MHz(8,388,608Hz)のATカット型水晶振動子を独自開発した。

長く凜々しい真鍮製の秒針が、きっちりと60カ所のインデックスに重なる

精度の高いムーブメントには精度の高い表示を!

 執念のようなムーブメントを開発したシチズンは、表示にも精度を求めた。1秒1秒を時計の正面から見たときに、キチンと文字盤のインデックスに止まるようにと……、部品のひとつひとつの加工精度を追求。

 そもそも、クオーツ時計には低消費電力で安定的な力で針を動かすために、薄く軽い針を使用することが通例であった。しかし、シチズンはキャリバー 0100を搭載するモデルには、重さのある長い真鍮製の針を採用。つまり自ら、無理ゲーの道を突き進むことを選択したのだ。

 美しく時を刻む針を含め、組み立てはシチズン最高技能者である時計組み立てマイスターが担当し、最終的に画像検査で秒針が60カ所のすべての位置で、インデックスに正しく重なる確認をしているそう。

バーゼルワールド2019の会場で撮影した、Caliber 0100を搭載したザ・シチズン(AQ6010-06A)。修正や加工をしていない、撮って出しのリアルな状態で、Caliber 0100の精度を紹介!

 とにかく息の詰まりそうな話しだが、発想をカタチにし製造する技術は、今後、普及モデルに継承されブランドが成長するための大きな礎になるために、重要なことだろう。

ケース裏がガラスになっているのは、美しいムーブメントを見せるためで、通常は機械式ムーブメントに採用される仕様。Caliber 0100を搭載したザ・シチズンはエコ・ドライブで駆動するクオーツ式ながら、ムーブメントを愛でて欲しいとシースルーバックに。

技術の最高結晶はホワイトゴールドで

 無粋だが値段を先に見てしまうと驚きの180万円+税で、この秋発売予定。世界限定100本で、ケースは18K ホワイトゴールド製、ストラップはワニ革。気軽に購入できる価格ではないが、技術向上の力に拍手を送りたい。

*世界最高精度:アナログ式光発電腕時計(自律型)として2019年2月、シチズン時計調べ。


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