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デジタルトランスフォーメーション、生産性向上、新年号対応などに寄与

サブスクリプションへの移行とインパクト、アドビ責任者が語る

2019年04月16日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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 2019年4月15日、アドビシステムズは米アドビ ブライアン・ラムキン氏による来日プレスラウンドテーブルを開催した。同社のサブスクリプション移行を推進したラムキン氏は、アドビのイノベーションの変遷とサブスクリプション移行のインパクトを報道陣に説明した。

アドビ デジタルメディア事業部門担当 エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー ブライアン・ラムキン氏

イノベーションを届けるためのサブスクリプションへの移行

 今回来日したブライアン・ラムキン氏は、1992年に入社後、Photoshopのプロダクトメンバーを務め、その後同社のサブスクリプションへの移行を推進。現在はDocument CloudとCreative Cloudを統括している。

 冒頭、ラムキン氏は、アドビが遂げてきた変革の歴史について概説し、「一貫して創作とビジネスの変革にフォーカスし、イノベーションというカテゴリを提供してきた」と語る。たとえば、PostScriptによりDTPを生み出し、イラストやグラフィックデザインのツール分野を開拓してきた。その後、Webへのパブリッシングやモバイルアプリの分野を拡充し、現在ではクリエイティブ分野のCreative Cloud、ドキュメント分野のDocument Cloud、マーケティング分野のExperience Cloudの3つのクラウドサービスで業界をリードしてきた。

アドビの変革の歴史

 アドビの大きな転機になったのは、永続版パッケージからサブスクリプションへの移行を図った2012年だ。ラムキン氏は、「Creative Cloudに移る前、新しいソフトの提供は18~24ヶ月かかっていた。以前はそれでよかったが、だんだんお客様のニーズに応えられなくなった」と語る。その後、PhotoshopやIllustratorなど統合スイートとして提供されていたAdobe Creative Suiteは、サブスクリプション型のCreative Cloudと統合。「デスクトップ、モバイル、クラウドのそれぞれにイノベーションを提供できるようになった。また、お客様と直接つながることで、ニーズを直接取り入れることが可能になった」と語る。

 こうしたサブスクリプションを前提にしたマーケティングを進める過程で、アドビが参入したのが、マーケティングプラットフォームの領域だ。Webマーケティング、広告、分析などの機能を統合的に提供するExperience Cloudは、マルケト(Marketo)の買収によりオートメーション化、マジェント(Magent Commerce)でコマース機能も取り込んでいる。

 一連のクラウド化・サブスクリプションへの移行は同社のビジネスに大きなインパクトを与えた。「サブスクリプションを導入することで、顧客満足度は劇的に上がった。なによりユーザー数が何百万から何千万という単位になったのがうれしい。今では約半分が初めてアドビを使うユーザーだ」(ラムキン氏)。今まで1桁だった成長率は平均20%にまで跳ね上がり、アドビの時価総額も以前に比べて10倍近く拡大していたのはご存じの通りだ。

顧客はフラストレーションを感じていた

 同社がサブスクリプションについて検討し始めたのは2010年にさかのぼるが、導入は容易ではなかった。「変化を受け入れことは難しい。当時、サブスクリプションは人気の高い考え方ではなかった。しかし、顧客はイノベーションのメリットを受けられないフラストレーションを感じていた。社員にもオポチュニティになることを伝えていった」とラムキン氏は語る。

 サブスクリプションの導入は単に定額制への移行にとどまらず、全社ぐるみで変化する必要があった。「あらゆるプロダクトでデスクトップだけではなく、クラウドやモバイルでも同じイノベーションを体験できるようしていった」(ラムキン氏)。また、社内で用いるKPIもExperience Cloud上に実装されたData Driven Operation Model(DDOM)を用い、アップレート率やトライアルユーザーのコンバージョン、エンゲージメント、リテンションなどを全社員が同じダッシュボードで見る形に変化したという。

 もちろん、働き方も大きく変わった。「物理的なオフィスに依存せず、オンラインで業務を進められるようになった。ミーティングも定期的な会議ではなく、立ち話でどんどん進むようになった」とのことで、アジャイルなワークスタイルの組織に変化したという。パートナーや顧客も変革に巻き込み、デジタルトランスフォーメーションの価値やノウハウを共有していったという。

AI化を実現するAdobe Senseiとエンタープライズビジネスの拡大

 そして、現在アドビが取り組んでいるのがサービスのAI化である。すべてのプラットフォームが師とあおげるようなインテリジェンスとなるべく、「Adobe Sensei」と名付けられたAIプラットフォームは、3つのクラウドで自動化を実現する。

 たとえば、Adobe Photoshopでは写真のデータから顔の表情を自動的に作ることが可能になり、Adobe Stockではユーザーに最適な写真をリコメンドする。また、Document Cloudでは、クラウド上のドキュメントを自動整形でき、Adobe Signではフォームを自動的に認識する。「Adobe Senseiでは、テクノロジーのいいとこどりをし、反復処理を自動化し、お客様が創作やビジネス変革にフォーカスできるようにする」とラムキン氏は語る。

Adobe Senseiで実現した先鋭的な機能

 アドビの法人向けビジネスは日本でも本格的に推進されるという。従来、プロダクトごとに異なっていたエンタープライズ向けの営業組織も統合され、顧客のデジタルトランスフォーメーションにも寄与する体制を構築する。アドビシステムズの栃谷宗央氏は、デジタルトランスフォーメーションで最重要なUXの向上についてはExperience Cloud、1日の作業のうち7割以上を占める反復処理の自動化についてはCreative Cloud、新元号への対応など迅速なビジネス環境の環境の構築にはDocument Cloudがそれぞれ寄与できるとアピールした。

アドビシステムズ マーケティング部 デジタルビジネスマーケティング エンタープライズ部長 栃谷宗央氏

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