Palmisano氏にCEO交代
研究開発や買収に注力
画像の出典は、IBM News Room
さて後継のPalmisano氏であるが、氏はすぐにハードウェア部門のテコ入れをしたりはしなかった。その代わりに、研究開発や設備投資、そして買収に力を入れた。最初に行なった大きな買収がPwCのコンサルタンティング部門である。
PwC、正式にはPricewaterhouseCoopersは、会計事務所の最大手の1つで、もともとは1849年に設立されたコンサルティングファームであるPrice, Waterhouse & Co.に遡る。
Samuel Lowell Price氏とEdwin Waterhouse氏(当初はこれにWilliam Holyland氏も加わっていた)の2人で立ち上げたことでこの名前になったわけだが、その後さまざまな会計事務所やコンサルティングファームを買収したり、合併したりしながら大規模化しており、2002年の時点では10万人を軽く超える規模であった。
その2002年、PwCはコンサルティング部門をいったん独立させる計画を立てる。背景にあったのは、2002年に同じくコンサルティング会社であったArthur Andersenが解散したことだ。
Arthur Andersenは、顧客であったEnronとWorldcomという、2大粉飾決算に強く関係していたとされて訴えられたのがその理由であるが、この結果としてSEC(米証券取引委員会)は監査の独立性のルールを強化することになり、主要なコンサルティングファームに対して監査部門とコンサルティング部門を分離するように求めた。
PwCのコンサルティング部門の分離もこれに対応したものだが、IBMはこの分離されたコンサルティング部門を35億ドルで買収し、IBM Business Consulting Serviceを立ち上げる(これはのちにIBM Global Serviceに改編された)。
2002年の営業損益が異様に低い理由の1つにはこの買収も含まれているからではあるが、この買収は2003年の回復に大きく貢献することになった。2003年にはIBM Business Consulting Servicesは30億ドル近い売上を達成している。

この連載の記事
-
第812回
PC
2倍の帯域をほぼ同等の電力で実現するTSMCのHPC向け次世代SoIC IEDM 2024レポート -
第811回
PC
Panther Lakeを2025年後半、Nova Lakeを2026年に投入 インテル CPUロードマップ -
第810回
PC
2nmプロセスのN2がTSMCで今年量産開始 IEDM 2024レポート -
第809回
PC
銅配線をルテニウム配線に変えると抵抗を25%削減できる IEDM 2024レポート -
第808回
PC
酸化ハフニウム(HfO2)でフィンをカバーすると性能が改善、TMD半導体の実現に近づく IEDM 2024レポート -
第807回
PC
Core Ultra 200H/U/Sをあえて組み込み向けに投入するのはあの強敵に対抗するため インテル CPUロードマップ -
第806回
PC
トランジスタ最先端! RibbonFETに最適なゲート長とフィン厚が判明 IEDM 2024レポート -
第805回
PC
1万5000以上のチップレットを数分で構築する新技法SLTは従来比で100倍以上早い! IEDM 2024レポート -
第804回
PC
AI向けシステムの課題は電力とメモリーの膨大な消費量 IEDM 2024レポート -
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 - この連載の一覧へ