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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第501回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー ハードウェアビジネスから脱却して再成長したIBM

2019年03月11日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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Palmisano氏にCEO交代
研究開発や買収に注力

Samuel J. Palmisano氏

 さて後継のPalmisano氏であるが、氏はすぐにハードウェア部門のテコ入れをしたりはしなかった。その代わりに、研究開発や設備投資、そして買収に力を入れた。最初に行なった大きな買収がPwCのコンサルタンティング部門である。

 PwC、正式にはPricewaterhouseCoopersは、会計事務所の最大手の1つで、もともとは1849年に設立されたコンサルティングファームであるPrice, Waterhouse & Co.に遡る。

 Samuel Lowell Price氏とEdwin Waterhouse氏(当初はこれにWilliam Holyland氏も加わっていた)の2人で立ち上げたことでこの名前になったわけだが、その後さまざまな会計事務所やコンサルティングファームを買収したり、合併したりしながら大規模化しており、2002年の時点では10万人を軽く超える規模であった。

 その2002年、PwCはコンサルティング部門をいったん独立させる計画を立てる。背景にあったのは、2002年に同じくコンサルティング会社であったArthur Andersenが解散したことだ。

 Arthur Andersenは、顧客であったEnronとWorldcomという、2大粉飾決算に強く関係していたとされて訴えられたのがその理由であるが、この結果としてSEC(米証券取引委員会)は監査の独立性のルールを強化することになり、主要なコンサルティングファームに対して監査部門とコンサルティング部門を分離するように求めた。

 PwCのコンサルティング部門の分離もこれに対応したものだが、IBMはこの分離されたコンサルティング部門を35億ドルで買収し、IBM Business Consulting Serviceを立ち上げる(これはのちにIBM Global Serviceに改編された)。

 2002年の営業損益が異様に低い理由の1つにはこの買収も含まれているからではあるが、この買収は2003年の回復に大きく貢献することになった。2003年にはIBM Business Consulting Servicesは30億ドル近い売上を達成している。

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