ソフトバンクは2月26日、ブロックチェーンでID情報管理・認証を推進するワーキンググループを発足したと発表。通信事業者のグローバル・ブロックチェーン・コンソーシアムであるCarrier Blockchain Study Group(CBSG)のもとで、アメリカのブロックチェーン技術開発企業TBCASoft, Inc.と協業するもの。
本グループの発足にともない、TBCASoft, Inc.は新しいアプリケーションフレームワーク基盤「Cross-Carrier Identification System(CCIS)」を構築。通信事業者はCCISを利用することで、ブロックチェーンを活用したID情報管理や証明書の検証が容易にできる。
現在、多くのID情報管理システムは、多数のユーザーを持つ特定の企業などで管理する中央集権的なデータベースに頼っている。サービスを利用するユーザーは正確なID認証をするために、システムを提供するプロバイダーを信頼する必要がある。ユーザーは中央集権的なデータベースと連携する無数のサービスプロバイダーに、氏名や住所をはじめとするID情報を開示しなければならない。
CCISは中央集権型サービスと異なり、通信事業者基準の高い信頼性を持ったコンセンサス(合意形成)のもと、それぞれの通信事業者が独立して運用できる。ゼロ知識証明分散台帳技術(Distributed Ledger Technology)で、ユーザーは通常共有したくないとされる個人の詳細な情報を提供せずに、IDの発行・保管・認証が可能。
CCISでユーザーはアカウントやパスワードを発行したり、覚えたりする必要がなくなる。TBCASoft, Inc.の技術と通信事業者のデータセンターの堅牢性で、 IDなどの盗難による個人情報の流出を防ぐ。企業やユーザーは機密情報を開示せずに、暗号化されたデジタルIDの認証ができる。
ソフトバンクのテクノロジーユニット技術戦略統括ITサービス開発本部本部長の福泉武史氏は「ID情報管理・認証は、プライバシー保護の観点から、品質にばらつきのあるデータベースに多くのユーザー名やパスワードを保存するのではなく、暗号化された電子IDが作られるべきだと考えています。CBSGに参加する通信事業者は、ID情報管理・認証においてグローバル規模で非常に重要な役割を担っており、ソフトバンクはTBCASoftと共にこの課題解決に取り組んでいます」と述べている。