世界を変えられると本気で信じたものが時代をつくってきた。テクノロジースタートアップ・プラネットウェイの平尾憲映代表のビジョンは壮大だ。情報国家エストニア生まれの個人情報管理技術をコアに、いまのインターネット市場を破壊する新たな情報インフラをつくろうと考えている。現在の事業基盤は同社独自技術を売りにしたシステム開発。東京海上日動などの一流企業をクライアントにし、今年の1月には、総理とエストニアに同行するなど注目を集めている。現在同社はビジョンの実現に向けさらに事業を成功させたいと考え、新たなメンバーにあなたのような逸材を採用したいと考えているらしい。まずは平尾代表が何者なのかを知り、メールを送るべき相手か判断してみたい。(全4回)
少数精鋭の完成形を見た
── 大学を出てからはソフトバンクに入社していますね。
内定をもらった800人のうち30人くらいが自伝をもらうんですが、唯一ぼくだけが孫さんのサイン入り。採用担当者から「おまえが孫さんを超えろ」と言われ、本を読んで泣きました。学生ベンチャーをやったとき壁にぶちあたったんですが、自分自身の苦しい経験がそのまま本に書いてあったように思えて感動してしまって。米国で ベンチャーを立ち上げた時、メンバーはすでに社会人経験がある人が多かったんですが、自分自身にはマネジメント経験がなかったので、最高の事業家である孫さんに学びたいという気持ちになりました。
── ソフトバンクでは何を?
はじめは携帯電話の配分を決めるマーチャンダイジング部門。次に事業推進という社長直属のプロジェクトやデータサイエンティストとしてユーザー約150万人のデータ分析もやっていました。案件は年間200件くらい降りてきて、OKをもらえるのがせいぜい3件くらい。新規事業の立ち上げもいろいろやりました。ソフトバンクには合計3年半いました。松本(徹三)さんと一緒に立ち上げた会社も入れると5年強です。
── イントレプレナーとして立ち上げた企業は2年で清算しています。
清算は挫折でした。挫折して高野山に修業に行きました。修業をして、最終的には「この寺を継がないか」と言われましたが、「いやいや」と辞退しました。ただ実はこの時の経験が最も今の自分のベースを作ってれくれましたね。何より、松本さんと言う最高の師匠に出会えましたし。詳しい内容は、 以前の対談を見てもらえればと思いますが。
── その後、台湾のメーカー・サーコムを経由して通信企業ワイヤレスゲートへ。
サーコムに入ったのは社長が面白かったからです。会社を選ぶときは事業や業界の可能性も見ますが、最後は社長です。サーコムの社長はすごかった。話すことすべて策略でできてるような人でした。策略は苦手なタイプなんですが学びがありそうだなと判断して入り、実際に学びがありました。自分自身がIoTのインキュベーターとして白書を書きはじめたのもそのときですね。いくつかの 白書を書いて、トータル1000社くらいダウンロードしてもらえました。それもプラネットウェイを立ち上げる1つのきっかけになりますね。その前に通信事業のワイヤレスゲートに行きました
── ワイヤレスゲートはどうやって?
ヘッドハントで行きました。すごい企業です。100億円くらいの売上を10人くらいでつくりあげている、少数精鋭の完成形を見ました。「うちの会社はプロ野球選手のように契約年俸制。成果を出せば年収は上がる。社員をもたずにやるんだ」と池田武弘社長が言っているのを見たとき「ぼくがめざすのはこれかな」と感じました。仕事の関係でいろいろとしがらみのある大企業を見てきた中、わずか10人足らずでこれだけのことができるのか、すごいなと素直に感じました。
── 池田社長の経営力に惹かれたと。
池田さんがすごいのは「平尾さん転職する気全然ないでしょ」と完全に見抜いてきたことですね。「ひとくくりついたらまた起業したいです」と話したら、「ちゃんと利益を出してインセンティブ持ってればいいよ」と。プラネットウェイのビジョンを話したら「いつか『グーグルを超えた会社をつくった人がうちにいたんだ』と言えたらそれでいいですよ」と言ってくれて、本当に嬉しかったですね。
── こうして見ると多彩な職業遍歴です。
サーコムとワイヤレスゲートを経たことで今のプラネットウェイができています。学生ベンチャー時代もふくめると、人材、エンタメ、コンテンツ、通信、半導体、ネットワークハードウェア(IoT向け)、IoT通信と渡ってきて、今に至ります。IoTのような最新技術はポイントだけを見ても全体がわかりません。AIもブロックチェーンもIoTも全体を見なければいけないのでいままでの遍歴は必然だったと思っています。
(第4回に続く)
(提供:プラネットウェイ)
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