「第2章」ではクラウドそのものが進化しなくてはならない
Think 2019で、米IBMのロメッティ会長兼社長兼CEOは、デジタルリインベンションの「第2章」の入口に立っていることを示してみせた。
第1章では、モバイルを活用したエンドユーザーのデジタル化への対応、ITコスト削減や導入スピードを短縮するためのクラウド導入、コールセンターなどの一部の業務エリアへのAIテクノロジーの活用が進展した世界を指している。
対して第2章とは、クラウドをエンタープライズで活用する時代の本格到来であり、そのためには、ハイブリッドクラウドの環境の進展、AIによるビジネスの拡張、ベンダーロックインのクラウド環境からの脱却、データとアプリケーションの柔軟な活用といった要素が不可欠になる。
ロメッティ会長兼社長兼CEOは「いまは20%のワークロードしかクラウドで動いていない。残りの80%は、ビジネスの基幹を担うミッションクリティカルシステムが含まれており、ここはまだクラウド環境では動いていない。これらのアプリケーションを近代化しなくてはならない。そのためには、クラウドがオープンであるとともに、信頼されるものであり、責任を持った形で提供されなくてはならない」と語る。
第2章へと移行する上で、クラウドそのものも進化させなくてはならないというわけだ。
そこにも、レッドハットが果たす役割がある。
買収が完了段階にあるわけではないため、レッドハットを前面に出したとは言い難いThink 2019であったが、レッドハットの存在感を感じるには十分すぎる内容だったといえる。
今後、買収の手続きを経るなかで、デジタルリインベンションの第2章の取り組みが本格化する。クラウド市場では追う立場にありながらも、デジタルリインベンションの第2章をリードする立場にあるIBMにとって、レッドハットの存在は切り札になる。
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