PowerPCをAS/400で使える方向を模索
さて、1995年までは順調にプロセスを微細化しながら進んできたわけだが、IBM内部ではこれ以上CISCプロセッサーを改良するのではなく、アーキテクチャーをまとめたいという声が当然ながらあがっていた。
相手は言うまでもなくPOWER、正確に言えばそのサブセットであるPowerPCベースである。連載494回で説明したように1990年にRIOS-1ベースのRS/6000が初出荷され、以後プロセスの微細化によってどんどん高性能化と高集積化を進めていく。
1993年のPOWER2ではついにシングルダイ化が可能になったが、こちらは高性能向けのプロセッサーで、価格的にもAS/400のラインナップにはやや厳しい構成だった。
むしろ有望視されたのは、PowerPCである。もともとPowerPCはIBMがApple向けに、POWER1のサブセットとして開発したプロセッサーであり、これにMotorolaを加えた3社によって開発が進められた、という話は、書籍「忘れ去られたCPU黒歴史 Intel/AMDが振り返りたくない失敗作たち」のFile14に収録されているので、ここでは割愛する。
その最初の製品であるPowerPC 601は、1993年に無事出荷を開始しており、AppleだけでなくIBMもPowerPCを搭載したRS/6000のラインナップを提供し始めた。
IBMやMotorolaはこれに続き、より性能を強化したPowerPCの開発をスタートしており、これとは別にAS/400向けCISCの高性能化を図るよりも、AS/400にPowerPCを使える方向を模索するのはある意味当然と言える。もっともこれは一筋縄ではいかなかった(以下次回)。
■Amazon.co.jpで購入
忘れ去られたCPU黒歴史 Intel/AMDが振り返りたくない失敗作たち大原 雄介(著)角川アスキー総合研究所
忘れ去られたCPU黒歴史 Intel/AMDが振り返りたくない失敗作たち大原 雄介(著)アスキー・メディアワークス

この連載の記事
-
第852回
PC
Google最新TPU「Ironwood」は前世代比4.7倍の性能向上かつ160Wの低消費電力で圧倒的省エネを実現 -
第851回
PC
Instinct MI400/MI500登場でAI/HPC向けGPUはどう変わる? CoWoS-L採用の詳細も判明 AMD GPUロードマップ -
第850回
デジタル
Zen 6+Zen 6c、そしてZen 7へ! EPYCは256コアへ向かう AMD CPUロードマップ -
第849回
PC
d-MatrixのAIプロセッサーCorsairはNVIDIA GB200に匹敵する性能を600Wの消費電力で実現 -
第848回
PC
消えたTofinoの残響 Intel IPU E2200がつなぐイーサネットの未来 -
第847回
PC
国産プロセッサーのPEZY-SC4sが消費電力わずか212Wで高効率99.2%を記録! 次世代省電力チップの決定版に王手 -
第846回
PC
Eコア288基の次世代Xeon「Clearwater Forest」に見る効率設計の極意 インテル CPUロードマップ -
第845回
PC
最大256MB共有キャッシュ対応で大規模処理も快適! Cuzcoが実現する高性能・拡張自在なRISC-Vプロセッサーの秘密 -
第844回
PC
耐量子暗号対応でセキュリティ強化! IBMのPower11が叶えた高信頼性と高速AI推論 -
第843回
PC
NVIDIAとインテルの協業発表によりGB10のCPUをx86に置き換えた新世代AIチップが登場する? -
第842回
PC
双方向8Tbps伝送の次世代光インターコネクト! AyarLabsのTeraPHYがもたらす革新的光通信の詳細 - この連載の一覧へ













