前回はSystem/38まで説明したところでページが尽きてしまった。ということで今回は前回の続きである。
IBMの高速データベースマシン「System/38」
画像の出典は、“IBM Archives”
価格性能比でIBMに勝る
DECのオフィスコンピューター
System/3、System/32、System/34の後継として1983年にSystem/36がリリースされ、これはこれでそれなりに性能は高かったのだが、この市場はDECなどが投入するいわゆるスーパーミニコンとがっぷり競合する市場であった。
そのDECは、本来System 3~System/34と競合する位置にいた16bitのPDP-11に関しては1980年前後からVLSI化が進み、UNIBUS/Q-Busの2系統の製品ラインのどちらでも急速に低価格化が進んだ。
DECは、1977年から32bitのVAX-11を投入していた関係で、PDP-11は80年代に入ると組み込みなどの用途と低価格化システム向けという扱いになっており、1984年小型・低価格モデルのMicroVAXが投入されると、System/36の対抗馬は従来のPDP-11からMicroVAXに切り替わった(PDP-11は引き続き組み込み向けに90年代まで生産されていた)。
純粋に性能、という意味ではMicroVAXはSystem/36に及ばない(*1)ものの、はるかに安価であり、価格性能比ではやはりDECは無視できなかった。
1980年台後半になると、RISCプロセッサーを搭載したUNIXワークステーションが台頭し始めるようになり、DEC自身こうしたトレンドに伍することができず、没落していったという話は連載366回で説明した通り。
ただこれは当然IBMにも当てはまる話であって、スーパーミニコンやワークステーションと戦うためにはSystem/36のままでは不十分、というのは当然中の人も理解していた。
(*1) 初代MicroVAXのKA610はTTLとカスタムチップからなるモジュールで、MicroVAX IIのVAX 78032 MPUでやっと2チップ(ALUとFPU)化したものの、動作周波数は5MHzそこそこ。1987年に登場したCVAXことCMOS製のVAX 78034でやっと11.1~16.7MHzまで動作周波数を上げてようやく並んだ程度。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第897回
PC
NVIDIA独自コア「Olympus」の真価 Vera CPUが見せたIPC全振りの重厚構造とメモリー帯域依存 -
第896回
PC
Arm自社設計「AGI CPU」の全貌、10-wideデコードと2ダイ構成で見せた優等生的な実力 -
第895回
PC
IBM ZがArmを取り込む衝撃! 次世代メインフレーム「z18(仮)」のネイティブDual-ISA戦略の狙い -
第894回
PC
AMD「Ryzen AI Embedded X100」のリアルタイムAI制御が、Jetsonの弱点であるCPU性能を突く -
第893回
PC
インテル製GPU「Crescent Island」の正体、容量480GBメモリーでエージェント型AIとKVキャッシュ問題に挑む -
第892回
PC
Hot Chipsで明かされた「Wildcat Lake」の全貌 Foverosを捨てMCPを選んだインテルの舞台裏 -
第891回
PC
謎多き次世代Xeon「Diamond Rapids」を解剖、3D Meshの進化と新命令セットAPXがもたらす変革 -
第890回
PC
Samsung「SF2P」の全貌! GAA最大の弱点であるPMOS性能低下を克服し、TSMC追撃へ準備万端 -
第889回
PC
なぜ巨大チップは歪んで壊れるのか? SK HynixのHBM4「MR-MUF」とTSMCのCoWoS-Lを襲う熱膨張の罠 -
第888回
PC
NVIDIA Rubin Ultra開発中止の真相! 180層CoWoS-Lの歪曲トラブルと、急造ラックNVL576に透ける苦肉の策 -
第887回
PC
AIなしではもはや限界 TSMCが明かすメモリー開発にAIが不可欠となった現実 - この連載の一覧へ











