「今回のキャンペーンでは不正利用させない」
これについては、カード会社と連携し、不正被害額を全額補償。一方で、大きく4つの観点から、各種の不正対策を実施したという。具体的には「セキュリティーコードを含むカード情報の入力回数制限」、「カード利用時の上限額変更」、「カード利用時の上限額の追加」、「本人認証サービス(3Dセキュア)導入」である。
「3Dセキュアサービスによる本人認証は我々の想定を超えて、登録が進んでいる。安心に利用するためには、本人認証を利用するが最適という啓蒙活動が必要だと考えていたが、ユーザー自らがそれを望んでいるようであり、活発に登録が進んでいる」とした。
中山氏は「システム障害や不正利用ではご迷惑や、ご心配をおかけした。関係者にお詫びする」とする一方、「キャンペーンを通じて、多くの学びを得たことで、新たなキャンペーンを開始するまでの期間に対策を打ち、準備をした。万が一のときにもすぐに対策を打つことができる」とし、「次回のキャンペーンでは、同じ過ちは繰り返さない。不正に対しては万全の体制とし、今回のキャンペーンでは不正利用させないという意気込みで臨む」と語る。
利便性の向上とセキュアな環境の実現は、高い次元で結びつきが求められる。利便性が高くても、セキュリティーが脆弱では利用されない。そして、高いセキュリティーが実現されても、利便性に課題があれば、普及はままならない。
言い方は悪いが、100億円という規模のキャンペーンは、悪意のある第三者にとっても、魅力的なものなのだろう。そうしたキャンペーンの繰り返しを通じて、PayPayのセキュリティーと利便性が高まることに期待したい。
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