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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第28回

トランプの曲げないゴール:

アップルが「米国製iPhone」を出す日は来るか

2019年02月07日 16時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●iPhoneさらに値上がりの可能性

 しかしトランプ大統領は「米国製造業への投資は当然」としか扱わないかもしれません。依然として、世界最大規模の収益力を誇る電子機器であるiPhoneは中国で作られ、米国に輸入されているのです。

 今回の米中貿易戦争はテクノロジーや知的財産(IP)の覇権争いといった背景も読み取れるため、単純な貿易不均衡だけがテーマとも言いきれません。

 しかし、他の問題が解決されなければ、中国からの輸入品に関税がかかることになり、アップルは米国内での販売に大きなマイナスの影響をもたらされることになります。すなわち価格の上昇です。

 ティム・クックCEOは2019年第1四半期決算の電話会議において、iPhoneの販売不振には「価格の問題」がある点を認めています。主に米ドルの上昇によって、米国以外の国でのiPhoneの価格上昇を原因だとしていますが、米国でのiPhoneの価格が上がれば、さらに販売が抑制されてしまいます。

 それを避けるため、iPhoneは上位機種についてもインドでの生産が検討されていると報じられるようになりました。米国内にiPhoneの製造が移されるわけではありませんが、対中関税を当面避けることができる、というわけです。

 一方、iPhoneの米国製造への移行をトランプ政権が大きなゴールとしたことは先述の通りですが、アップルとしては現実的ではないと考えているはずです。それを裏づけるようなエピソードがThe New York Timesによって報じられました。

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