C4 LAN 2018 WINTERで展示されていたTEAM PCMODの作品をレポート
「持ち運べる」「動く」「飲み物を冷やせる」、思わず目を疑う水冷MOD PC最前線
2019年01月18日 07時00分更新
「え?冷蔵庫をPCに?」 ABS博士「できらぁっ!」
最後はABS博士(@abs_hakase)が満を持して世に送り出した「冷蔵庫PC」だ。自作erなら一度は誰もが夢見るスタイルだが、博士はそれを高次元で実現した。インテリアなどに使われる「ディスプレイクーラー SC40B」というノンフロンの冷蔵庫を冷却機能はそのままに、水冷PCや半透過ディスプレー、ニキシー管などを組み込んだ意欲作となる。「素材をそのまま活かす」博士のコンセプトは一貫している。
ABS博士と言えば、昨年の自作オフ会in AKIBAでも、UFOキャッチャーを搭載したMOD PCの製作総指揮を務めたことで有名だ。過去には酒瓶やビールサーバーにPCを組み込むなど、かなりぶっ飛んだ作品が多い。しかし、意外にも今回のハードチューブを使った本格水冷は初めてだったという。
また、素材の持ち味を限界ぎりぎりまで活かす手法をとっているためか、前面パネルを照らすLEDが光らなくなるなどの故障も多く、オリオスペックに到着後3分で早くも半田ごてを取り出し修理していた。しかし、その顔はやや嬉しそうでもあり、「手のかかる子ほど」なんとやらだ。ちなみに、博士は生粋のジャンクディガーだ。つまり、あっさり動くものにがっかりする奇特な手合いなのである。
半透過ディスプレーはもはやなかなかお目にかけない19インチのスクエアタイプを採用。ご母堂が掃除中に落として壊れるという悲しい事故もあり、完成までに都合3枚ほど使用したという。また、分解した液晶ディスプレーのパネルを前面パネルに貼るわけだが、その制作過程でむき出しになったフレキシブルケーブルが剥がれるといったトラブルもあったそうだ。きっとこういったトラブルも博士にとっては日常の一部なのだろう。不幸なエピソードだが、とても楽しそうに話していたのが印象的だった。
また、Kuraraは上部サブディスプレーの裏にはショート基板のビデオカード「SAPPHIRE PULSE RADEON RX 570 MINI 4G GDDR5」を搭載しているとのこと。やはり冷蔵庫PCも「ゲーミングPC」なのだ。こちらも水冷仕様になっているそうだが、前面からはサブディスプレーで完全に隠れており、確認できなかった。
バックプレートを加工するはずが制作時間に切羽詰まり、試しにサブディスプレーをはめたらあまりにピッタリだったのでそのままにしたという。博士の素材を活かしきる「奇跡のピッタリ」組み込みはもはや神のいたずらと言っても過言ではない。
博士のMOD PCはさりげない工夫もおもしろい。Kuraraの背面には家庭用コンセントが付いており、なんとそこから電源もとれるというのだから驚きだ。電源ボタンはテレビで使うケーブル穴にどんぴしゃのボタンを発見したという。LANポートはもちろん内部でマザーボードとつながっており、ここからケーブルでLANに接続できる。しっかりと「LANパーティー」仕様にしているわけだ。
C4 LAN 2018 WINTERをド派手に彩った日本のMOD PC。世界を見渡してもここまでユニークな作品群は稀だろう。取材中は自作PCの可能性は限りなく広いと感心させられ通しだった。1月中はオリオスペックで展示しているそうなので、ぜひ足を運んでみてはいかがだろう。今回取材した3台と対面すれば、「よし!自分も何か面白いPCを作ろう!」とうずうずすること請け合いだ。
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