弾丸といっても丸くはありません
米軍が使用している銃火器の弾薬類を入れる弾薬箱には、中になにが入っているかがひと目でわかるようにマーキングが施されています。前回ご紹介したブローニングM2重機関銃用の.50 Cal弾を入れる弾薬箱も、弾の種類や数が書かれていました。
マーキングの100 CRTGは100 Cartridgeの略で、弾が100発入っていることを示しています。.50 Calは直径12.7mmの弾という意味で、LINK M9は弾と弾をつなぐリンク装置の名称です。この弾はブローニングM2重機関銃などで使われるもので、当初は対戦車用として使われていましたが、装甲が強固になった今では威力不足のため主に装甲の薄い車両に対して使用されることが多いようです。
銃の弾を弾丸と言うことがありますが、丸という文字が入っているものの球形ではありません。これは昔の鉄砲の弾が球状だった名残で、現代の弾は先が尖った細長い形をしています。球形よりも細長い方が空気抵抗が大幅に減って安定して飛びますからね。
昔の弾込めは大変でした
歴史の教科書に出てくる火縄銃の弾も真ん丸です。この火縄銃、火薬の爆発力で弾が発射されるという原理は今も昔も変わりませんが、弾の装填方法と着火の仕組みは大きく異なります。
現代ではほとんどの銃が後ろから弾を込める後装式という方式ですが、火縄銃などは前装式と言って銃口から弾を入れるようになっていました。後装式もあるにはあったらしいんですが、弾をセットしたらきっちり密閉しなくちゃいけないのに、当時の技術では難しかったため主流にはならなかったらしいです。
そんなわけで火縄銃に弾を込めるときは、まず銃口からサラサラと黒色火薬を入れ、次に球状の鉛弾を入れて、カルカと呼ばれる棒でぐいぐいと押し込む必要があります。作業には1分近くかかったそうで、戦闘中にしては結構な長時間ですよね。
この時間を短縮するために考え出されたのが早合(はやごう)という便利アイテム。竹や木などでできた筒に弾丸と1発発射するぶんの火薬を入れておき、フタを外して銃口にくっ付けると一気に流し込めるという仕組みです。あとはカルカで押すだけ。
これにより装填速度が画期的にあがり、熟練者だと20秒を切るまでになったのだそうです。ブローニングM2が1分間に600発を超える弾丸を発射できるのと比べると、なんとものんびりした数値ですね。
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