Dynamics 365やOffice 365、アドビ、SAPのビジネスデータを統合してフル活用
Power Platformはビジネスの「現場」にデータドリブンな課題解決力を与える
2019年02月06日 11時00分更新
2018年12月21日、マイクロソフトのPower Platform「Power BI」「Microsoft Flow」「PowerApps」をテーマにしたユーザーイベント「ローコーディングの極み!Power Platform Day Winter '18」が開催された。Power Platformとは世界で唯一、データの収集から解析・予測まで、一気通貫でローコーディングにより実現可能なプラットフォームだ。イベントでは多数のセッションが開催されたのだが、本稿では、Power Platformで様々な業務課題を「現場で」解決する、という切り口で、キーノート、および、Microsoft MVPによる2セッションの様子を紹介したい。
共通データモデルを現場でハンドリングできるPower Platform
「デジタルトランスフォーメーション」は様々な文脈で使われるキーワードだが、マイクロソフトが同社製品を通じてユーザーにもたらしていきたいデジタルトランスフォーメーションとは、「製品の変革」「お客様とつながる」「業務の最適化」「社員にパワーを」の4つである、とキーノートに登壇した日本マイクロソフト CTOの榊原彰氏。
それは例えば、接続されていない製品をIoT化してリアルタイムにデータを把握すること(製品の変革)や、ユーザーが自社顧客に対してパーソナライズされた対応や継続的な関係構築を可能にすること(お客様とつながる)、予測に基づいたインテリジェンスな業務計画を立てること(業務の最適化)、質の高い社員の採用プロセスや能力管理(社員にパワーを)といったテクノロジーの使い方だ。「このような取り組みには、必ず“データ”が伴います。ビジネス横断的に収集したデータを統合・推論し、そこから得た洞察をビジネスのアクションにつなげる“デジタルフィードバックループ”が必要です」(榊原氏)。
デジタルフィードバックループのプロセスで重要なのは「データの統合」だと榊原氏は説明する。マイクロソフトは、クラウドビジネスアプリケーション「Dynamics 365」、Windows 10とOffice 365を含む「Microsoft 365」、ビジネスSNS「LinkedIn」のデータモデルを統一化し、これらのクラウドサービスに集まるビジネスデータを統合して分析できるようにしている。2018年9月には、マイクロソフト、Adobe、SAPの3社で共通データモデル「Open Data Initiative」を発表し、Adobe Experience CloudやSAP HANAなどのビジネスデータも統合可能にした。
この統一化されたデータモデルにアクセスする方法は2通りあり、1つはMicrosoft Graphのプログラミングモデルを使ってAPIでアクセスする方法、もう1つは今回のイベントの主題であるPower PlatformのCommon Data Serviceを使ってローコードでデータを活用する方法だ。
Power Platformは、ローコーディング・ノンコーディングでアプリが作れる「PowerApps」、裏側でビジネスロジックを呼び出せる「Microsoft Flow」、溜まったデータを可視化する「Power BI」の3つからなるプラットフォームのこと。PowerApps、Power BIは、マイクロソフトの共通データモデルにアクセスする「Common Data Service」を備えている。Power BIを使えば、Dynamics 365やMicrosoft 365、AdobeやSAPが統合されたビジネスデータから、セルフサービスやローコーディングで洞察を得ることができる。その洞察をPower Apps+Microsoft Flowによってノンコーディングでビジネスアプリケーションに落とし込むことができる。「統一化されたデータをハンドリングし、推論、洞察、アクションのデジタルフィードバックループを回すことを、誰でも簡単に実現できるのがPower Platformです」(榊原氏)。