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Dynamics 365やOffice 365、アドビ、SAPのビジネスデータを統合してフル活用

Power Platformはビジネスの「現場」にデータドリブンな課題解決力を与える

2019年02月06日 11時00分更新

文● 柳谷智宣、羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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SharePoint OnlineよりもPowerAppsがより「現場」に向く

 How-Toのセッションでは、「PowerAppsで作るスマホアプリでカンタン作業現場報告!」というテーマで、株式会社テンダ Microsoft MVP 中村太一氏が登壇した。

 テンダは1995年に設立され、ビジネスプロダクト事業やWebソリューション事業などを行っている。企業規模としては従業員数221人、年商は21.4億円ほど。中村氏は、WebデザイナーやSharePointの運営を経て、現在はOffice 365を扱っており、ごりごりのエンジニアではないという。

テンダ Microsoft MVP 中村太一氏

 今回のテーマは作業現場報告アプリの作成だ。作業報告を紙で行う従来の方法では、現場で紙に記入して帰社した後に、紙の報告書を提出。提出された紙を手作業でデータ化して集計する。その後、データを集計して報告をチェックするという流れとなる。

 現場では紙を汚したり字が汚くて読めないという入力ミスのリスクや紙という資源の無駄が発生する。帰社する際には、交通費や移動時間と紙の紛失リスクが発生する。会社では、データを手作業で入力する手間や紙の廃棄や保管と言った無駄な作業が発生する。作業完了から、管理者のチェックまでにタイムラグが発生し、問題の発見が遅れてしまうという問題が出てくる。手作業が多いので、ヒューマンエラーが起きる可能性も高まる。

 対応策としては、まずは専用システムのスクラッチ開発が挙げられる。しかし、長い開発期間と高いコストがかかり、実装できたとしてもちょっとした修正でもその開発会社に依頼しなければならなくなる。専用サービスだとカスタマイズの柔軟性がなく、それなりの追加コストが発生する。そこで中村氏が推すのがOffice 365である。

 SharePoint Onlineだと、コストを抑えて自分たちでアプリを構築でき、モバイルにも対応できる。しかし、UXがいまいちで、ファーストラインワーカーに使ってもらうには動線が使いにくいのがネックとなる。「そこでPowerAppsの出番です」と中村氏。

SharePoint Onlineでは機能は実現できてもUXが悪くファーストラインワーカー向けとしては使いにくい

 「そこでPowerAppsの出番です。PowerPointとExcelの関数が扱えるレベルであれば、少しのトレーニングでアプリを開発できるようになります。業務を熟知している人たちが自分たちで開発できるので、作業期間を短縮したり、すぐにブラッシュアップしたりできるのが魅力です」(中村氏)。

 SharePoint Onlineでカスタムリストを作成しているなら、わずか2クリックでPowerAppsアプリの原型を作成できる。PowerAppsのアプリは一覧から素早くアクセスできるうえ、iPhoneのホーム画面にアイコンとして置くことも可能。このUXは大きな魅力だ。

PowerAppsなら素早くアプリを利用できる

 モバイルデバイスならではの機能としては、位置情報を取得したり、撮影した写真を添付したりできる。管理するのもラクで、PowerAppsで管理者用の確認アプリを作ってもいいし、SharePointでチェックすることもできる。ちょっと作業が必要だが、Power BIですべてのデータをまとめて確認することも可能だ。

 「このようなツールを導入する場合、特定部門に対して、スモールスタートで展開させます。その後、効果測定をして費用対効果を認めたときにようやく大規模展開するのですが、そこで課題があります。SharePoint Onlineは大量のデータを扱うのには向いていないのです。そこでCommon Data Service(CDS)の出番です」(中村氏)。

 CDSであれば、プログラミング言語を知らなくても、大量のデータを扱えるデータベースを作成できる。親子関係のあるデータを扱ったり、様々なシステムとデータを統合することもできる。ただし、Office 365を契約しているだけだと、CDSは使えず、「PowerApps Plan 1」以上の契約が必要となる。

本格的に運用するならデータはCDSに保存したほうがいい

 PowerAppsで作成したアプリを社内で利活用するには工夫が必要になる。単に使って、と告知するだけでは使ってくれないことが多いためだ。

 ユーザーが思い浮かべられる利用シーンを提示することが重要だそう。社内での成功事例を掲示板にアップして読んでもらったり、働き方改革コンペを実施し社長賞を出したりすると、社内で伝播していくという。

 社員の教育に関しては、トレーニングサービスを提供している会社などとタッグを組み、社内のExcelマスター的なパワーユーザーに教育を施す。すると、その人たちが下のメンバーに使い方を伝播させていくというわけだ。そうなれば、システムの利用マニュアルを作る必要もない。実際、ヒースロー空港やニトリでは、PowerAppsの導入を成功させているそうだ。

ユーザーがユーザーを育成していく仕組みを構築すると利活用が促進される

* * *

 清水氏は予約受付システムのデモ、中村氏は作業報告アプリのデモを見せてくれた。現場で必要な機能を、現場の人が簡単に作成できるというのはメリットだらけだ。きちんと使いこなせば、相当高度なシステムの構築も可能になる。2つのセッションを聞いた後は、自分でアプリを作ってみたくなってしまった。

(提供:日本マイクロソフト)

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