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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第490回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー AT互換機という怪物を産み出したIBM

2018年12月24日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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可搬型PCのIBM 5140を投入
競合製品が多くヒットとは行かず

 時計の針を少し戻すと、IBM-PC/ATのType 3と同じく1986年4月に発表されたもう1つの製品がIBM 5140である。IBM Convertible PCという名前の方が通りがいいが、もう写真でわかる通り可搬型(ラップトップというにはやや重すぎる)PCである。

IBM 5140。Data General/Oneと比べてどちらが洗練されていたかというと微妙なところ

 CPUには8088をCHMOS(連載239回で触れたもので、要はCMOS)化した80c88という省電力版の8088(4.77MHz)が搭載され、メモリーは標準256KB/最大512KB、LCDは640×200ピクセルで、3.5インチFDDを2台搭載している。

 ちなみに液晶は取り外し可能で、別売のCRTアダプター(350ドル)経由でCRTを利用することも可能だった。重量は12ポンド(5.5Kg)で、少なくともSCAMPやIBM 5100などに比べればずっと現実的に持ち運び可能な範疇だった。

 Osborne 1の半分なので、持って歩くのは不可能ではないだろう。価格は1995ドルで、バランスとしては悪くない。

 ちなみにオプションで熱転写プリンターやシリアル/アナログポートを本体後方に取り付け可能だった。

IBM 5140。フル装備にするとこの奥行きになるのは受け入れられたのだろうか?

 個人的に言えば、これでHDDが内蔵できたら完璧だったのだろうが、あいにくこの当時はまだこのサイズに収まるHDDがなかったから仕方がない。なお、オプションでバッテリーパックもあり、短時間であれば外部電源なしでの運用も可能だった。

 ところがこの市場は競合も多く(DataGeneral/Oneもそうだし、この当時すでに東芝やZenithからも製品が出ていた)あまりヒットしたとは言い難い。

 後で改修がかかったらしいが、当初はLCDのバックライトがなく、非常に視認性も悪かったらしい(だからこそのCRTアダプターだった模様)。

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