可搬型PCのIBM 5140を投入
競合製品が多くヒットとは行かず
時計の針を少し戻すと、IBM-PC/ATのType 3と同じく1986年4月に発表されたもう1つの製品がIBM 5140である。IBM Convertible PCという名前の方が通りがいいが、もう写真でわかる通り可搬型(ラップトップというにはやや重すぎる)PCである。
画像の出典は、Steve's Old Computer Museum
CPUには8088をCHMOS(連載239回で触れたもので、要はCMOS)化した80c88という省電力版の8088(4.77MHz)が搭載され、メモリーは標準256KB/最大512KB、LCDは640×200ピクセルで、3.5インチFDDを2台搭載している。
ちなみに液晶は取り外し可能で、別売のCRTアダプター(350ドル)経由でCRTを利用することも可能だった。重量は12ポンド(5.5Kg)で、少なくともSCAMPやIBM 5100などに比べればずっと現実的に持ち運び可能な範疇だった。
Osborne 1の半分なので、持って歩くのは不可能ではないだろう。価格は1995ドルで、バランスとしては悪くない。
ちなみにオプションで熱転写プリンターやシリアル/アナログポートを本体後方に取り付け可能だった。
画像の出典は、Steve's Old Computer Museum
個人的に言えば、これでHDDが内蔵できたら完璧だったのだろうが、あいにくこの当時はまだこのサイズに収まるHDDがなかったから仕方がない。なお、オプションでバッテリーパックもあり、短時間であれば外部電源なしでの運用も可能だった。
ところがこの市場は競合も多く(DataGeneral/Oneもそうだし、この当時すでに東芝やZenithからも製品が出ていた)あまりヒットしたとは言い難い。
後で改修がかかったらしいが、当初はLCDのバックライトがなく、非常に視認性も悪かったらしい(だからこそのCRTアダプターだった模様)。
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