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医学部入試における女性差別

2018年12月25日 09時00分更新

文● 池内 了 編集● 盛田 諒(Ryo Morita)

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●東京医科大学の場合

 そもそも、東京医科大で秘かに採られていた入試差別の措置が明らかになったのは、大学補助金について文科省の局長から得た便宜の見返りに、大学側がその局長の息子の点数を不正に加点していた「裏口入学」問題の調査の過程で発覚したものだ。「一つの悪の摘発はさらなる悪を露見させる」と言うべきだろう。

 今回露見したのは、「裏口入学」のためになされた特定個人に対する点数操作以外に、二次試験の小論文で女子と4浪以上の男子に対して他の受験生に比べて不利な点数操作をしていたことである。点数操作は2006年以来続けられており、結果、数百人が被害を受けた。強く希望していた医師になる夢を諦めた受験生も多いのではないかと想像される。

 不正は前理事長や前学長の指示によるとされている。当然入試に関与した教員たちもこの措置を当然としてきた(少なくとも気づいていた)と思われるが、内部告発はなされなかった。真実に忠実であるべき大学の教員なのに、不正に加担していたのである。

 女性差別をしていた理由について、前理事長はヒアリングで「女性は結婚・出産・育児に時間を取られることが多く、医師としての勤務に支障をきたすことが多く、さらに女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティが下がる」と述べている。女性医師の勤務状況として言われていることをそのまま、まだ医師になっていない女子受験生にまで適用して決めつけ差別しているのである。

 さらに問題であることは、女性医師の勤務状況の多くの原因は、大学病院を経営する自分たちにあることを等閑視して女性医師のせいにしていること、また女性の医師としての資質・能力・評価など専門性に関する実力を一切取捨していることである。

 入試における採点操作が露わになって、大学当局は、この「裁量」が女性差別であることを認め、過去に損害を受けた受験生には回復措置を採ることを約束し、今後このような不正行為がないような仕組みを作り上げるとした。誰が見ても入試における不正として認める行為であり、何とも抗弁のしようがなかったのだろう。

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