ファーウェイの躍進の影でサムスン失速の原因は
ハイエンドでのインパクトの弱さ
2018年のスマートフォン市場はファーウェイの躍進が目立った1年でした。ファーウェイのスマートフォン販売台数を見てみると、今年第2四半期にはついにアップルを抜いて2位に上昇。「新型iPhoneの買い控え」でアップルが伸び悩むという話も聞かれましたが、アップルの売り上げは毎年第4四半期だけが突出するといういびつな動きをしています。第3四半期もファーウェイはそのまま2位を守り続け、果たして第4四半期の結果がどうなるのかが気になるところです。
さすがにアップルも第4四半期は2位を奪回するでしょう。その一方で、シェアトップのサムスンの勢いもやや陰りを見せています。2018年の四半期ごとの販売台数を調査会社ガートナーの数字で見ると、第1四半期が7億8565台(20.5%)、第2四半期が7億2336台(19.3%)、そして第3四半期が7億3360万台(18.9%)とシェアを下落させています。
要因はいくつかあるでしょうが、ボリュームを出すべきミッドレンジ・エントリー機をシャオミなど中国メーカーに取られただけではなく、ハイエンドモデルのインパクトの弱さがブランドの力を引き下げているように思えます。
長年「Galaxy Note」シリーズを使っていた筆者ですが、「Galaxy Note9」のペンのBluetooth内蔵化は高く評価するものの、それを活かしたアプリケーションが少なく、Galaxy Note旧機種からの乗り換えを促すほどにはなっていないと感じました。また、春のフラッグシップの「Galaxy S9」シリーズも「Galaxy S8」シリーズとの差別化がうまくいっていません。
4眼カメラやホールパンチカメラなど
斬新な技術を投入したものの、起爆剤にならず
2018年後半に出たクワッドカメラの「Galaxy A9(2018)」、ホールパンチカメラの「Galaxy A8s」などGalaxy Aシリーズは大きな動きを残し、実験的な最新モデルであることをアピールしました。とはいえ、Galaxy Aシリーズそのもののイメージが深く浸透していないことを考えると、これらの機能はIT系のメディアで大きく報道されるにとどまり、世界中の一般消費者層にはサムスンの先進性の印象が届かないままで終わる可能性もあります。
Galaxy Noteの初代が出てきた時は、「そんなバカでかいディスプレーなど誰も使わない」と揶揄されたものですが、大画面=サムスンの印象を広め、そしていまや世界中のスマートフォンは画面サイズが大型化しています。またカメラとスマートフォンを合体させたGalaxy Cameraを出すなど、インパクトに富んだ新製品をサムスンは送り続けてきました。
Galaxy Aシリーズに見るカメラの進化はサムスンとして他社との競争に勝つための避けられない道ですが、いまやどのメーカーもカメラを最大の武器とすべく開発に力を入れています。OPPOやVivoの電動カメラなど、あっと驚く機能も先を越されてしまいました。カメラの強化だけではサムスンの独自性は引き出せない、筆者はそう感じます。

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