日本のスポーツは競技の継続が難しい。チームスポーツの継続性の少なさが、スポーツを事業化するうえので問題点と指摘。前回に引き続き、筑波大学体育系准教授・高橋義雄氏に話を聞きつつ、日本のスポーツビジネスの今後の可能性について考察を続けていきたい。
スポーツを事業化するうえでの最大の障壁が、企業主導によるプロスポーツの事業構造だと話す。
たとえばJリーグは地域密着型での発展を目指したが、実際には読売新聞、トヨタ、日立、パナソニック、三菱自動車、ヤマハなどの実業団有力チームが基礎で、そうした実業団スポーツの延長線上にあるという。形としては、欧州のようにスポーツクラブを起点としてジュニア、ユース世代からトップチームまでの階層構造を持つものの、経済的には企業に依存してきた。
その結果「サッカーの場合、日本代表チームの試合は国民みんなが注目し、応援するカルチャーが定着しました。国内で試合があれば観戦チケットは奪い合いになり、グッズ販売なども含めて大きな事業に発展します。サッカー好きが集まり食事をし、愛好者グループのコミュニティも一時的に発展するのです。ところが、ワールドカップの期間が終了すると応援していた代表は解散となり、新たなチームが組まれます。そこでいったんコミュニティの輪は途切れ、彼らはJリーグの試合を観に行くことがありません」という問題を生み出している。