●完全分離プランは一般消費者にとってハードルが高い
大手3キャリアはこれまで、端末代金と通信料金をセットにして、端末代金を2年間、割り引きにするというプランが一般的だった。一方、格安スマホを展開するMVNOは、当初はSIMカードだけを提供するというのがビジネスモデルであった。
「端末は家電量販店でSIMフリースマホを調達してください」、あるいは「アップルの直営店でSIMフリーiPhoneを購入してください」、さらには「今まで使っていたスマホのSIMロックをはずしてうちのSIMカードで使ってください」というビジネスモデルだ。
しかし、最近はMVNOもさまざまなスマホを取り扱い、端末とSIMカードのセット販売をするところが増えた。今では端末とSIMカードのセット販売が主流になりつつある。
たとえばUQモバイルでは、端末とSIMカードのセット販売が全体の7割を占めている。しかも「マンスリー割」という割引が適用されていることもあり、端末とSIMカードのセットが選ばれているというのだ。
IIJにおいても「最近は端末とのセット販売が好調であり、収入を増やす要因になっている」(同社幹部)という。IIJは法人向けMVNOサービスに比べて、個人向けMVNOサービスの新規契約獲得が伸び悩んでいる感があるのだが、端末販売の割合が増えていることもあり、収入は増加している。ちなみに、IIJは現金での割引はないが、1万円のAmazonギフト券がもらえるなどの販促を実施している。
MVNOが端末ラインナップを増やすのは、SIMカードだけを提供するだけではユーザーが契約してくれないという事情がある。
あるMVNO関係者は、
「一般的なユーザーには、自分のスマホのSIMロックを解除してSIMカードだけをMVNOと契約するのはハードルが高すぎる。そもそもSIMロック解除できる機種なのかを調べなくてはならないし、SIMロックを解除しても他キャリアのネットワークできちんと動くかの動作確認もウェブページで調べる必要がある。知識のないユーザーを取り込むには、端末と対応するキャリアを増やしたほうが確実だし、お客さんにも優しいはずだ」
と、本音を語る。

この連載の記事
-
第263回
トピックス
「アクセシビリティは“人権”」アップルが40年間続ける取り組みとは -
第262回
トピックス
ソフトバンクとKDDIが“空の救助網” 雪山遭難、ドローンで発見 -
第261回
トピックス
スマホ5G“ミリ波”肩透かし 6Gは“センチメートル波”が鍵に -
第260回
トピックス
ドコモ苦戦 携帯3社、“値上げ”で明暗 -
第259回
トピックス
KDDI、通信品質で再び首位に ドコモとソフトバンクが不満「あの評価基準はおかしい」 -
第258回
トピックス
アドビ、AIで若年層開拓 “映える”画像を作りやすく -
第257回
トピックス
ドコモ経由の“NISAデビュー”増える マネックスか、SBIか、悩ましい選択に -
第256回
トピックス
KDDIドローン事業、9年目で軌道に乗る兆し 無人AIポート運用に成功 -
第255回
トピックス
楽天モバイル“値上げしない宣言”に他社が苦言 「自分たちでネットワークを構築しないくせに」 -
第254回
トピックス
クアルコム「Snapdragon」名称迷走 PC市場での認知施策が課題に -
第253回
iPhone
アップル新型「iPhone」全部比べた オススメはこれ - この連載の一覧へ











