あるいは高級ブランド戦略をどう「納得」すべきか:
アップルにとってiPhone XRが大事な理由
2018年10月23日 09時00分更新
●Apple Watchのアルミニウムケースが売れても世界一
Apple Watchはスマートウォッチ市場のトップランナーであることはいうまでもありませんが、アップルによると2017年、世界の腕時計市場で最も多くの売上高を上げた企業になったそうです。
それまでの1位はロレックス。1本あたりの金額は50万円からという、高級腕時計ブランドとして知られています。それを4万円弱のApple Watchが上回ったのですから、販売本数が10倍以上多かったことがうかがえます。
必ずしも、高い価格のモデルが売れたから実現した腕時計売上高1位、というわけではありません。しかし、上級モデルの存在がApple Watchへの興味を惹きつけるだけのブランドを作ってきた点で、重要だったとふりかえることができます。
さて、iPhoneはどうでしょう。
この話でいけば、iPhone XSシリーズが最も売れるモデルにならなくても、Apple Watchのアルミニウムケース同様、アルミニウムフレームでカラフルなiPhone XRが売れれば、世界一の売上高を達成できるのではないでしょうか。
アップルは結果的に、iPhone XRに販売の軸を持ってくる戦略で、2018年モデルの勝負をしていると考えて良いでしょう。
ただし、iPhone XRが販売の軸になったとしても、アップルの「同じ販売台数で平均販売価格を高める」戦略は達成されます。iPhone 8より50ドル高く設定されていますし、そもそも749ドルがスタートだとしても、128GB、256GBのストレージも必要ですよね。それぞれ799ドル、899ドルという価格に上がります。
iPhone XR 128GBモデルの799ドルという価格は、昨年四半期で最高をたたき出したiPhoneの平均販売価格近辺です。そのことからもわかるとおり、iPhone XRが売れていけば、アップルの売上高は前年と同じか、上回る可能性が高い、と考えて良いでしょう。

この連載の記事
- 第317回 アップル初のApple Parkでの開発者イベント、初公開の「Loop Building」とは
- 第316回 「Mac Studio」アップルの多様すぎる接尾語について考える
- 第315回 アップル「Mac Studio」登場で生じる、ラインアップへの疑問
- 第152回 アップル「MacBook Pro」ポート増加は敗北なのか
- 第151回 iPhone分解アートと、Appleが目指す未来
- 第150回 アップル新型「MacBook Pro」どの構成で買うべきか
- 第149回 アップル「iPhone 13」4つの魅力
- 第148回 アップルiPhoneラインナップから浮かび上がる2つのこと
- 第147回 アップル製品ラッシュふたたび?
- 第146回 アップルはiOS 15で「時間の支配権」をユーザーの手に取り戻させようとしている
- 第145回 アップル新型「iMac」驚きの電源
- この連載の一覧へ