世界に通用する技術を生かせない
新野社長兼CEOはNECの強みは、世界に通用する技術力にあるとする。
「世界中を見渡しても、NECのように研究部門を持って優れた技術を持っている企業はあまり多くはない」と続ける。
1970年代から研究を開始し、世界トップクラスといわれる顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響の6つの生体認証技術で構成する「Bio-Idiom」や、最先端AI技術群である「NEC the WISE」などがNECの代表的技術であり、さらにネットワークやコンピューティングでも数々の技術を持つ。
しかし、その技術を生かし切れていないところに課題があるとする。
「これまでのNECはいい技術があっても、それを知ってもらう努力をしなかったり、ビジネスにつながっていなかったりという課題があった。また、国内でじっくりとPoCをやった結果、いよいよ世界に出すといった段階では同じような技術が世の中にたくさんあるというスピード感の欠如も課題だった」とし、「技術をマネタイズするにはどうするかをもっと考えなくてはならない。外でどんどん使ってもらい、それを評価してもらい、駄目ならばやめる。モノになるのであれば、自分でやっても、売ってもいいという判断もある。最適な出口を見つけ出すことが大切だ」とする。
これも、これまでの「当たり前」からの決別のひとつだ。
変革するためのギアチェンジ
NECは今年、創立119年目を迎えた。新野社長兼CEOは「119年目の大改革」と位置づけ、「2018年は変革に向けたギアチェンジの年」とも語る。
「企業文化や制度、仕組みから抜本的に変革し、社員の力を最大限に引き出すことで強いNECを取り戻したい。そのために、この1年間で徹底的に変えていく」とする。
NECのギアチェンジは、トップスピードに乗るためのギアチェンジではない。トルクを最大限に発揮するローギアへのチェンジと捉えていいだろう。次の加速に向けて、引っ張り切ることが必要だ。だが短期間に、もう一段上のギアにシフトできなければ、焼き付きを起こす可能性があるともいえる。
NECは2019年には、次のギアへとシフトしている状況にあるのだろうか。来年には、その変化を新野社長兼CEOに聞いてみたい。
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